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押切もえ「自分を貫く強さはこの本から教わった」 わが人生最高の10冊

現代ビジネス 10/16(日) 17:01配信

この本で自分の弱点がわかった

 ハッとさせられる言葉に多く出会った本を、ここでは選びました。

 唯川恵さんは、学生時代から愛読していた大好きな作家さん。中でも『肩ごしの恋人』は折に触れて読み返す一冊です。

 クールな「萌」と、自由奔放な「るり子」という、性格が正反対の親友同士の恋と友情の物語。自他ともに認める「同性から嫌われる」タイプのるり子を、私も最初は苦手だったのですが、どこかに羨む気持ちがあることに気づいたんです。

 そしてラスト、〈不幸になることを考えるのは現実で、幸せになることを考えるのは幻想なの? というるり子の言葉に衝撃を受けました。

 ああ、そうだなと。るり子のように、幸せになろうとしない限り、幸せにはなれないのだと。傲慢になってはダメだけれど、時には嫌われてもいいから、自分のやりたいことを貫く強さを持とうと、教えられました。

 唯川さんには実際にお会いする機会があったんですが、その時、山本周五郎賞の候補になった私の小説に対して、温かい言葉を下さった上で、少し優等生感が見えたと評されました。

 この言葉を聞いて、目の前の靄がパッと晴れたような気がしたんですね。自分でもまさにそれが弱点だと感じていたから。現実でも小説でも、良い子でなくていい、心のままに突き進めと教えて下さった唯川さんに感謝しています。

 2位のミランダ・ジュライの『いちばんここに似合う人』には衝撃を受けました。文章も内容も、私の読書経験の中で唯一無二。何を書こうとしているの? どんな世界観なの? と、最初の数行は頭をひねってしまうような突き抜けた短編ばかりが並んでいる。と同時に、人の欲や孤独、淋しさ、温かさといった普遍的な感情が、物語には詰まっているのです。

 私は「水泳チーム」が好きですね。川も海もプールもない村で、水泳コーチになる女性の物語。

 〈わたしはきっと、人類史上最高に悲しい水泳コーチだ〉というラストの一文が胸に沁みます。

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最終更新:10/16(日) 17:01

現代ビジネス

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