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新潟入りした二階幹事長を直撃「土地改良事業予算増は利益誘導ではない」「原発再稼働は国が決める」

HARBOR BUSINESS Online 10/16(日) 9:10配信

◆予想外の大接戦のテコ入れで二階幹事長が新潟入り

 新潟県知事選は予想外の大接戦に。これを受けて、10月12日に自民党有力議員の二階俊博幹事長(「土地改良事業団体連合会」会長)が新潟入り。県内の企業や団体を回り、自民党・公明党が推薦する森民夫候補へのテコ入れを行った。

 前夜から新潟入りした二階氏は朝8時、新潟市のホテルで新潟市を地盤とする国会議員や県議や市議らに「何が何でも勝ち抜く」と檄を飛ばした後、9時からは「新潟県建設業協会」の植木義明会長(植木組社長)と面談。報道関係者には非公開だったが、建設業協会の会館内には森候補のポスターが貼られ、植木会長は森候補を推す理由として「長岡市長としての実績があり、自民党も推薦している。建設省出身で国とのパイプもある」と話していた。

 旧建設省出身の森候補は、道路や港湾などインフラ整備推進が政策の目玉。その中には、青森から新潟を経て日本海側を大阪まで結ぶ「羽越新幹線計画」も含まれている。

◆土地改良事業予算増の報告とともに選挙応援の訴え

 12時半には森民夫事務所を訪れて挨拶。その後、13時半から「土改連(土地改良事業団体連合会)ビル」(新潟市)で二階幹事長の時局講演会が開かれた。7月の参院選で全国比例区で当選した元農水官僚の進藤金日子参院議員が挨拶したのに続いて、土地改良事業団体連合会会長の二階幹事長が「土地改良事業予算を再び増やした」と報告した後、森候補への応援要請をした。

 二階幹事長は、民主党政権時代に大幅削減された土地改良事業(農業土木事業)の予算を再び増やし、第二次補正予算に約1000億円を盛り込むのに貢献していたのだ。

 この後も二階幹事長は精力的に動いた。新潟市内の土地改良関連団体を2か所回った後、長岡市の福島江土地改良事務所での時局講演会にも駆けつけ、16時半から約30分熱弁を振るった。

 森候補のポスターが貼られた会場で、制服姿の建設業者ら土地改良事業の受益者を前に、二階氏は「民主党政権時代の予算削減に対して『戦う土地改良事業団体連合会』と命名、予算増額を勝ち取った」と振り返りながら、森候補への支援をここでも呼びかけた。

◆「利益誘導では?」との問いに二階幹事長「何を言ってるんだ!」

 講演終了後、車に乗り込もうとする二階幹事長を記者は直撃した。

――二階先生。土地改良予算を増やした見返りとして、土地改良事業関連団体に選挙応援を依頼したのですか。

二階幹事長:そんなことはない。もっとレベルの高いことです。利益誘導をしたとかしないとかということを言いたいのだろう。

――利益誘導ではないのですか? 予算の見返りとして。

二階幹事長:ないよ!(怒りの表情を浮かべながら)何を言っているんだ!(SPが「急いでいるので」と間に入り、再質問をさえぎる)

“政界の寝業師”とも呼ばれる二階幹事長は、新潟市や長岡市での時局講演会で、泉田知事との面談も予告していた。

「現職の(泉田)知事、明日(13日)、私のところに来てくれるそうですから東京でお目にかかって、『土地改良で大変お世話になりました』と皆様を代表してお礼を申し上げると同時に、『新しい森県政にも知事の経験者としてご指導、または、ご協力をお願いしたい』ということを私は申し上げておきたい。みんなで支えあって助け合って、新潟県を発展させることを考えようではありませんか」

 二階幹事長は「泉田知事とも太いパイプがあると強調しながら森県政への協力要請も予告することで「(県民からの支持率が高い)泉田県政を引き継ぐのは森候補」という印象を与えようとしたのだ。

◆二階幹事長「(原発については)二重三重の安全を考えて対応したい」

「予算増の見返り」は否定したが、インフラ整備推進を最大の政策としてアピールしながら新潟県内を回っていることは明らかな二階幹事長。それでは、県知事選の大きな争点となっている原発再稼働についてはどう考えているのか? 森候補の選挙事務所から出てきた後の囲み取材では、原発政策について記者も質問。二階幹事長はこう答えた。

――この県知事選は原発の問題、再稼動の問題が争点になっていますが、それについてはどのようにお考えでしょうか。

二階幹事長:原発の問題についてはそれぞれ関係者の皆様でいろいろ協議をされたり、また研究されたり、また現場を見に行ったり、いろいろ今日までされていると思います。私は森県政が誕生すれば、これだけ原発の問題が囁かれている選挙でありますから、必ず、このことを第一番に取り上げて、この安全の確認、そういう面で一生懸命頑張ってくれるであろうと思います。私も経済産業大臣を3回もやったものでありますから、原発の問題の重要性はよく承知しているつもりであります。安全を確保する、安全を確認することに対して、みんながご心配をされているのは無理もないことです。これに対して、新しい県政の取り組みに全力でバックアップをしたいと思っております。

――相手候補は「原子力防災が不十分だ。避難計画に問題がある。再稼動は認められない」と言っているのですが、二階幹事長のお考えはいかがでしょうか。

二階幹事長:私がここに来て、再稼動がいいとか悪いとか論評する必要はないと思います。新しく知事になった人が考えることでありますが、「再稼動が安全か安全ではないか」ということを念頭に対応しているのは当り前のことで、新潟だけの問題ではない。この問題は日本全体に関係する問題ですから、そこは慎重の上にも慎重に、二重三重の安全を考えて対応していきたいと思っております。

◆原発再稼働については「国が責任を持って判断する」!?

――「原発事故の時に、被曝の恐れがあるところに行くバスの運転手が確保できない」と相手候補は言っているのですが。その点はいかがですか。

二階幹事長:それは相手候補が考えればいいことです。

――日本全国の避難計画に関する問題ではないですか。

二階幹事長:いやいや、そんな難しいことを言うて。あなた、計画案は持っているの?

――相手候補は、そういった避難計画が不十分ではないかと言っています。例えば、バスの運転手がいなければ(住民を)避難させられないなど。

二階幹事長:そんな問題は政府が考えて、そういうことに万が一遭遇した場合には、日本国をあげて対応します。

――経団連との会合で「電力業界、オール日本で対応する」ということを言いましたが、森候補にも原発再稼動を期待されているのでしょうか。

二階幹事長:別に期待も何もしていないですよ。皆さんが選んだ人が、県議会というものがあるわけですから、県議会でもいろいろご相談をなさって、その上でどうするこうするという相談をすることになると思います。いま、森候補にお願いすることは何もありません。ただ、立派な新潟県を作っていただきたい。新潟の歴史、新潟の将来に対して、しっかりとした対応をしていただきたい。

――森候補は「(原発再稼働に関して)県で独自に検証をして、国にも東電にも『ノー』を言うこともある」と言っているのですが、「ノー」と言われた場合にはどうされるのですか。

二階幹事長:知事の意見を十分に聞いたうえで判断しますが、知事になられた人から相談があれば冷静に判断をしたいと思います。

――「再稼動については国が判断する」ということでよろしいでしょうか。

二階幹事長:私は少なくとも「国が責任を持って判断をする」と思っております。

 土地改良事業、インフラ整備推進については饒舌だったものの、原発再稼働については具体的な発言はなかった二階幹事長。10月16日、新潟県民はどのような判断を下すのだろうか。

<取材・文・撮影/横田一(ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた最新刊『黙って寝てはいられない』<小泉純一郎/談、吉原毅/編>に編集協力)

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最終更新:10/16(日) 9:10

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