ここから本文です

トヨタが畜産向け堆肥化促進剤の改良型を販売開始。共同開発のタッグ相手はコンタクトレンズのあの企業

HARBOR BUSINESS Online 10/16(日) 16:20配信

 2016年10月5日、トヨタ自動車とメニコンは、2006年に発売した畜産向け堆肥化促進システム「resQ45(レスキューヨンジュウゴ)」シリーズの新商品「新特別急酵液体」を共同開発し、トヨタの子会社であるトヨタルーフガーデン株式会社が販売元になり、豊田通商株式会社の販売ルートを通じ、10月5日より販売を開始すると発表した。(参照:『トヨタ』)

 トヨタは自動車関連事業以外にも多くの事業を行っており、畜産関連の新規事業があっても何の違和感も無いが、タッグを組んだ相手がコンタクトレンズのメニコン!? そもそもメニコンが畜産向け堆肥化促進システム事業に関わっていたのはなかなかに興味深い事実だ。

 トヨタが自動車以外の「住宅」「金融」「情報通信」などの分野に進出し、事業を展開していることは誰でも知っていることであり、1989年に事業開発部が設置されてから、継続的な活動を推進している。畜産向け堆肥化促進材は、トヨタのバイオ・緑化事業の中の畜産バイオマス活用事業のひとつである。1998年1月、トヨタは、バイオ・緑化事業室を設置し、研究開発に着手、翌年5月には、バイオ・緑化研究所を建設し、研究開発・事業化の体制を整えた。実に27年の歴史を持つ事業なのである。

 ただ、2016年3月期決算のトヨタの売上高は、28兆4千億円だが、事業別セグメント売上高は、自動車事業 25兆9千億円、金融事業 1兆8千億円、その他の事業 6千億円となっている。(参照:2016年3月期 決算要旨)

 このように、トヨタ全体の売上高の中で、バイオ・緑化事業や、その中の畜産バイオマス活用事業が占める割合は低いのは事実であるが、構成割合よりも、自動車・金融以外の事業が確実に成長することの方が重要だろう。

 そして、今回のタッグ相手、メニコンとの関係である。実はトヨタとメニコンの共同開発・販売は2006年まで遡る。

 2006年当時、日本国内では年間8,900万トンの家畜排せつ物が排出されており、2004年11月の「家畜排せつ物法」(野積み・素掘りの禁止等)の完全施行以降、畜産農家では適切な処理に多大な労力がかかるという課題があった。

 課題解決として両社が共同開発したのが、「resQ45」である。2006年7月から、効率的で環境にやさしい畜産向けたい肥化促進システム「resQ45」が、トヨタの子会社であるトヨタルーフガ-デン株式会社が製造・販売元になり、豊田通商の飼料販売ル-トを通じ、地域を限定して販売が開始された。

◆なぜメニコンなのか?

 コンタクトレンズのメニコンが、なぜ畜産向け堆肥化促進材の共同事業をおこなったのか? 実は、メニコンは、コンタクトレンズ・ケア用品の開発で培った技術を、環境事業分野に活用しているのだ。そして、ニコンが分解酵素・微生物を基に新開発した促進材を開発し、「堆肥化調整剤及び堆肥化調整方法」のような特許も出願している。

 また、メニコンは環境エコ事業として、畜産向け堆肥化促進材の開発の他にも、稲わら分解促進材の開発にも取り組んできた。さらに、2014年、発酵促進技術を応用し、スターバックスコーヒージャパンが事業者となる「再生利用事業計画(食品リサイクルループ)」において、コーヒーの豆粕を「牛のえさ」として再利用、飼料化する技術監修を実施したりもしている。

「メニコン アニュアルレポート 2016」(※pdf)によると、2016年3月期のメニコンの事業別売上高比率は、メルスプラン50%、コンタクト・レンズケア商品48%、その他2%の構成となっている。この、その他事業の中で、動物用眼内レンズや動物用サプリメントなどの動物医療事業、人間の生殖補助医療製品などのライフサイエンス事業と並んで、畜産、農業、飼料、コーヒー豆粕などの環境バイオ事業が新規事業の3本柱のひとつに挙げられているのだ。

 10月5日より販売を開始した「resQ45」シリーズの新商品「新特別急酵液体」の従来商品との違いは、粉体状ではなく液体状の商品であることである。処理量の多い大型農場の堆肥化作業においては、粉体状の「新特別急酵」を散布することが大きな手間であった。「新特別急酵液体」は、既設の液剤散布器を使うことで、粉体と比較して万遍なく確実な散布が可能となり、さらなる作業の効率化と安定した堆肥づくりが実現し、畜産農家の作業負担および環境負荷の軽減に寄与することが期待されている。

 トヨタとメニコン。意外にも思えるこのタッグだが、27年の歴史を持つトヨタの知見と、メニコンの分解酵素・微生物技術をベースとし、多くの可能性を秘めた事業なのかもしれない。<文/丹羽唯一朗>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:10/17(月) 11:55

HARBOR BUSINESS Online

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。