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没後100年、夏目漱石の名言に学ぶ幸福論

PHP Online 衆知 10/17(月) 21:10配信

猫のように自分らしく生きる幸福

他人の目を気にせず、自由気ままに――「猫」のように生きてみたい。そう思ってはいても、上手くいかない現実に、日々鬱々としていませんか? 私たちと同じように、自分の筋を通すことに腐心し、しなやかに生きることを目指したのが、明治の文豪・夏目漱石でした。伊藤氏貴著『漱石と猫の気ままな幸福論』(PHP文庫)が、そんな漱石の著書や書簡、日記などに遺されたことばを、「自分らしく生きる幸福」という視点で読み解いた名言集です。ここでは、その一部を抜粋してご紹介。誰にも媚びない「猫」のような夏目漱石の人生観の一端にふれていただきます。

まっすぐな喧嘩をしてみる。

人間は竹のようにまっすぐでなくっちゃ頼もしくない。まっすぐなものは喧嘩をしても心持がいい。――『坊っちゃん』

他人との無駄な衝突は避けたいものです。といって、その場で自分を曲げてばかりいては憤懣やるかたないでしょうし、それは必ずどこかで爆発します。
明らかに自分に非がないといえる場合ならば、事態を呑み込んでお腹がふくれてしまうまえに、さらっと本音を口に出してみてはどうでしょうか。時間が経ってから深刻そうに言うと、無駄に大ごとになってしまいますが、すぐにその場で、何気なく言ってしまえば、たいていその場だけで収まるものです。
大事なのは、感情的にならずに、あくまですぐその場でさらっと、ということです。そうすれば、たとえそのとき揉めたとしても、あとくされがありません。
相手を貶しめるためでなく、自分がただこう思っただけだ、ということを伝えられるだけで、すっきりするものですし、言いたいことを言い合った相手とは前よりずっと打ち解けて仲良くなれるかもしれません。雨降って地固まる、と昔から言うではありませんか。

そのままの自分で生きる。

鍍金(めっき)を金に通用させようとする切ない工面より、真鍮を真鍮で通して、真鍮相当の侮を我慢する方が楽である。――『それから』

誰だって他人から尊敬されたいと思います。でも、そのために自分を大きく見せようとするのは、結局自分を苦しめるばかりです。やってもいないこと、できもしないことを、「やっている、できる」と言えば、あとでうそつき呼ばわりされるでしょう。また、身の丈を超えて生活水準を上げようとするなら、どこかで無理が生じて、あとでもっとずっと苦しい生活を強いられることになりかねません。
仮に自分を「金きん」であると思ったとしても、それをわざわざ他人にひけらかそうとするのは見苦しいものです。自分の輝きが「金」のそれなのか「真鍮」のそれなのかを決めるのは、他人の判断として放っておけばよいのではないでしょうか。それに、華美な輝きという点ではたしかに金に及ばないかもしれませんが、真鍮の輝きには真鍮なりのよさがあります。それを金(メッキ)で覆ってしまい、磨くとすぐにはがれてしまうくらいならば、はじめから真鍮としてピカピカに磨き上げていった方がよほど美しいものです。

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最終更新:10/17(月) 21:10

PHP Online 衆知

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