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想いを汲み取る「雑談」で、部下のコンディションを整える

PHP Online 衆知(THE21) 10/17(月) 11:40配信

雑談で重要なのは、言葉の奥にある「心」だ

26歳で興したベンチャーを上場にまで導き、その後、再び起業して新たな挑戦を続けている経沢香保子氏。経営者としての16年の経験の中で、社員との関係構築について多くを学んだと語る。そこでは「雑談」が大きな役割を果たしている。具体的にどんな雑談をしているのか、お話をうかがった。

会議の前は「雑談」でリラックス

 かつてトレンダーズを率いて上場に導いた経沢香保子氏は、現在、カラーズ(取材時の社名/現キッズライン)社長として活躍している。「ベビーシッター事業を通して日本の育児環境を変革する」というミッションを掲げた同社の社員は現在約10名。全員と密なコミュニケーションを取れる環境にあって、雑談が果たす役割はとても大きい。オフィシャルな場である会議でも、まずは雑談から入るそうだ。

「目的はリラックスすることです。会議では時にシビアな話も出ますし、プレッシャーを感じやすい場ですから、最初に緊張をほぐすことが不可欠なのです」

 いわばアイスブレークとしての雑談だ。話す内容はさまざまだが、楽しい話をするようにしているという。

「テレビで観たことや街で目にした出来事など、皆が笑顔になる話をしています。私たちの会社をメディアに取り上げていただいた話をするのも効果的です。『自分たちの会社に世の中が関心を持っている』ということは、仕事に誇りを持つことにつながるからです」

 緊張をほぐす会議前の雑談の他に、普段から「部下の心のコンディション」を整えるためにも、雑談を活用しているという。

「社員が悩みごとを黙って抱え込んでしまうことがしばしばあります。そうした異変は見た目にも仕事にも表われますから、早めに『調子どう?』『大丈夫?』といった声がけをしています」

 女性に対しては、必要に応じてプライベートの相談に乗ることも多いそうだ。

「その場合は、私自身の経験を活かして話をしています。結婚、出産、育児などの人生経験が彼女たちの助けになれば嬉しいですね」

 一方、男性に対しては、プライベートには踏み込みすぎないようにしている。

「男性に対して気をつけているのは、感謝を常に表現し、存在意義を感じてもらうことです。雑談の中でも、『いてくれて嬉しい、ありがたい』という感謝を伝えるひと言を、折に触れてかけるようにしています。
 最近は変わってきているとはいえ、『男性にとって仕事は、辞めることのできない、マラソンのようなもの』と私は捉えています。ですから、仕事で居場所をなくすことのないように配慮しています。社長である私も簡単に辞めることができない立場ですから、その点は共感できます。とくに女性が男性と雑談する際には、男性のこうした前提条件に配慮したほうがいいでしょう」

 このように、経沢氏の雑談の奥には個々の社員の人生に対する配慮がある。

「そうやって、一人ひとりのコンディションを最良の状態に保ちたいと考えています。コンディションが悪いと、仕事のパフォーマンスが下がります。会社も盛り上がらない。ですから、私の役割は社員のコンディションを狂わせるような要素を取り除くこと。そのための配慮は必要と考えています」

 こうしたきめ細やかなコミュニケーションを取れる社員の数は、経沢氏の経験上、30~35人くらいと考えているそうだ。トレンダーズではその人数を越えて社員が増えていったが、そうなると、中間管理職の役割が重要になり、手法を変えていった。

「ちなみに、コンディションを整えることとモチベーションを上げることとは、私は分けて考えています。モチベーションは、あくまで各自がコントロールするべきもの。自分たちの仕事が社会から求められていて、世の中の役に立っているということが伝われば、一人ひとりがモチベーションを高めてくれるはずです」

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最終更新:10/17(月) 11:40

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