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「死」してから目覚めるゾンビ遺伝子が発見される:研究結果

WIRED.jp 10/17(月) 12:12配信

心臓が止まり、呼吸運動および脳機能が停止する。人工的な蘇生もかなわない。それは「死」の宣告のときである。しかし、生命活動を終えたからといって、肉体がすぐに死ぬわけではない。細胞内では、「死」した直後に目覚め、その後4日間も活動的になる、“ゾンビ遺伝子”が発現するからだ。

「この研究の意義とは、『死』の追究が、おそらくさまざまな『生』の情報をもたらしてくれるということでしょう」

『Science』に掲載されたプレスリリースにてこう述べるのは、米ワシントン大学微生物学のピーター・ノーブル教授だ。『BioRxiv』で査読待ちの2つの論文は、死後に“覚醒”する遺伝子について議論している。それは犠牲者の正確な死亡推定時刻や、臓器移植に関する認識の見直しを迫るものだ。

ノーブル率いる研究グループは、解剖用のヒトの血液や肝臓から採取した遺伝子が、死後12時間経ったあとでも活動的だったという研究結果をふまえ、ゼブラフィッシュとマウスでも、同様の現象がみられるかどうかを観察した。

▼死後のmRNA活動レベルを調査

メッセンジャーRNA(mRNA)は、遺伝子発現やタンパク質の合成にかかわる重要なものであり、mRNAの活動レヴェルはそのまま、細胞内でどれだけの遺伝子が活性化しているかの目安となる。

生命活動を止めた生物の体には、さまざまな変化が起こる。もちろんそれらの変化は、生物を確実に土へと還らせる序曲にすぎないが、だからといって体内の臓器や、細胞のすべてが突然活動を停止するわけではない。

研究者らは、20匹のマウスと43匹のゼブラフィッシュの死後、37368のマウスの遺伝子と36811のゼブラフィッシュの遺伝子を経時的に分析。死んだ個体とまだ生きている個体のmRNAを比較し、死後に活動的になったmRNAが、一定時間経過後にどう変化するのかを観察した。

分析の結果、マウスの遺伝子515個は死後に活発になり、そのまま2日間も活動し続けるものがあった。ゼブラフィッシュに至っては死後548個の遺伝子が活性化し、なんと丸4日間も活動的であり続けるmRNAもあった。これは、生物が死んでから数日経ったあとでも、mRNAの転写に必要な細胞機能とそのためのエネルギーが十分にあるということを示唆している。

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最終更新:10/20(木) 5:02

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