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独教会の「少年聖歌隊」内の性的虐待 --- 長谷川 良

アゴラ 10/17(月) 16:30配信

「性的虐待事件は一件、一件、心が痛み、魂が苦しい。なぜならば、個々のケースの背後には、苦しむ子供の魂があったからだ。何もなかったようには振舞うことはできない。ただ、犠牲者の人々に許しを請うだけだ」

独レーゲンスブルクの「レーゲンスブルク大聖堂少年聖歌隊」(Domspatzen)内で起きた性的暴行・虐待事件について、ルドルフ・フォ―ダ―ホルツアー司教(Rudolf Voderholzer)は12日、犠牲者を伴った記者会見でこのように述べている。

世界最古の少年合唱団として有名な同聖歌隊内で1953年から1992年の間、性的暴力、虐待事件が発生し、その総数は422件に及ぶという。

同司教は、「可能な限り、犠牲者と個々に会い、彼らの話を傾聴し、許しを請いたいと考えている。まだ登録されていない犠牲者がいたら報告してほしい。教会側の援助の申し出を利用して頂たい」という。

教会側のウルリッヒ・ヴェーバー弁護士(Ulrich Weber) によると、今年1月の途中報告後129人が新たに連絡を取ってきた。多くは身体的暴力、一部は性的暴力が含まれていた。この結果、総数は422件になったという。

ヴェーバー弁護士は2015年5月から報告された事件を調査中だ。独立調査調停人の同弁護士は途中報告者の中で、「犯行の現場となった少年聖歌隊の施設内では久しく『恐怖のシステム』が支配してきた」と説明した。すなわち、教会側の隠蔽と口止め工作があったことを認めている。なお、「最終報告者」は来年、発表される予定だ。

フォ―ダ―ホルツアー司教は、「未成年者への性的暴力、虐待事件の効果的、持続的な解明のための対策を検討中だ。具体的には、事件の社会学的、歴史的研究を進めるため、ヴィースバ―デンの連邦、州犯罪対策拠点とレーゲンスブルクの歴史学者ベルンハード・レフラー氏に調査を依頼する。同司教は、「社会学的研究は未成年者への性的虐待事件の防止に寄与すると期待している」と強調している。

犠牲者に対して、「教会側の申し出を信頼できない人は教会とは関係のない無料の独立避難所を利用できる」と説明し、「犠牲者の緊急の支援に応じる意向を示した。例えば、ミュンヘンには情報センター(MIM)がある。そこでは精神医療を学んだ専門家が待機し、犠牲者は無料でテラピーを受けることができる。

同司教は2013年1月からレーゲンスブルク司教を務めているが、「これまでの対応は十分ではなかった」と説明、「今後は事件の全容解明に一層努力していきたい」と述べている。

なお、バチカン法王庁のゲルハルト・ルードヴィヒ・ミュラー教理省長官(Gerhard Ludwig Muller)は2002年から12年まで10年間、レーゲンスブルク司教だったが、大聖堂少年聖歌隊内の性的虐待事件の解明については当時、真剣さに欠けていたという批判を受けてきた。

なお、バイエルンのラジオ放送(BR)が13日報じたところによると、ミュラー教理省長官はレーゲンスブルク司教区の大聖堂少年聖歌隊内の性的虐殺問題について、「自分はもはや担当ではないので何も言えない」という姿勢を崩していない。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2016年10月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』(http://blog.livedoor.jp/wien2006/)をご覧ください。

長谷川 良

最終更新:10/17(月) 16:30

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