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ミスを恐れず。原口元気の「野性プレー」がハリルジャパンの攻撃の形

webスポルティーバ 10/17(月) 15:00配信

福田正博 フォーメーション進化論

 日本代表は、10月6日のホームでのイラク戦を2―1で辛うじて勝利し、1月11日にアウェーでオーストラリアと1―1でドロー。4試合を終えて2勝1敗1分の勝ち点7で、サウジアラビア(3勝1分、勝ち点10)、オーストラリア(2勝2分、勝ち点8)に次いでグループ3位につけている。

【写真】ハリルジャパンで躍動する原口元気選手、推進力のあるドリブルで敵陣を切り裂く

 初戦でUAEに敗れ、イラク戦で苦しみ、オーストラリア戦は先制しながら引き分け。徐々にハリルホジッチ監督の手腕に対して疑問の声もあがってきている。

 そんななか、今月末に日本サッカー協会の技術委員会が監督手腕を検証する会議を開くという。だが、当面は監督更迭という事態に発展しないのではないかと私は考えている。

 ここまでの試合内容を問えば、決して満足できるものではない。しかし、W杯最終予選は結果がすべて。どんなに内容が良くても、負けて本大会への出場権を逃しては身も蓋もない。

 日本代表は過去に、98年フランスW杯を目指すアジア最終予選の途中で加茂周監督が更迭され、岡田武史コーチが昇格したケースがある。岡田体制に移行した3戦目にアウェーでの韓国戦に勝利したことで、「ジョホールバルの歓喜」につながったが、監督交代直後に行なわれた2戦はどちらも引き分けだった。

 監督交代は選手の発奮材料になるものの、チームを立て直す即効性は期待しにくい。試合をするのが選手である以上、メンバーを大きく変えない限りはピッチで見せるサッカーに大差はないからだ。

 さらに言えば、オーストラリア戦後にハリルホジッチ監督は「勝ち点2を失った試合」とコメントしたが、過去2大会のW杯予選でオーストラリアに3分1敗の日本代表が、勝ち点1を積み重ねられたことは決してネガティブな結果ではない。コンディション不良の選手が多く、故障者も相次いだことで守備的なサッカーを選択し、そのなかでも勝利をつかみかけただけに悪い内容ではなかった。一定の形に固執せず、相手に応じてスタイルを切り替えられる柔軟性が今後さらに求められるだろう。

 この試合では、ハリルホジッチ監督がW杯で世界の強豪と対戦する際に求める「攻撃の形」が垣間見えた。象徴的だったのは、原口元気がゴールを決めるまでの展開だ。原口が中盤でボールを奪取し、そのまま味方にボールを預け、ゴール前に走り込んでフィニッシャーとなった。これまでハリルホジッチ監督が何度となく口にしてきた「デュエル」と「タテに速く」が実践されたプレーだった。

 原口は、アジア最終予選2戦目のタイ戦でスターティングメンバーに起用されてから3戦連続ゴール。チームを活性化させている。最大の特長は、勢いのあるプレースタイルと、結果を求めるハングリーさだ。

 日本の指導者の多くはバランスを重視する傾向が強く、原口のように「野性的」なプレーをする選手を敬遠しがちだ。原口は、浦和ユース時代からその能力を高く評価されていたにもかかわらず、ロンドン五輪メンバー入りを逃すなど、各年代で代表の中核にはなれなかった。そうした経験があるからこそ、今も貪欲なプレースタイルを貫けているのだろう。

 ハリルホジッチ監督就任後、原口はボランチやサイドバック、右MFなど、本職ではないポジションで起用されることが多かった。それでも不慣れながら懸命にプレーして食らいつき、ようやく手にした本職FWでのプレーで「一発回答」した。

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最終更新:10/17(月) 15:05

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