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「なぜ売れない芸人の僕が、200万PVの人気連載を持ち、処女作『超現代語訳 戦国時代』がamazonランキング1位になったのか」イベントレポート

ダ・ヴィンチニュース 10/17(月) 17:30配信

 ピースの又吉直樹さんも「するすると頭に入った」と大絶賛、amazon総合ランキングでも13位まで上昇するなど話題の『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳 戦国時代』(幻冬舎)。この刊行を記念し、著者であるお笑いコンビ「ブロードキャスト!!」の房野史典さんが、10月11日に下北沢の本屋「B&B」でトークイベントを開催、裏話をたっぷりと披露した。

■「売れない」と「売れてない」の大きな違い

 今回のイベントのタイトルは、なんと「なぜ売れない芸人の僕が、200万PVの人気連載を持ち、処女作『超現代語訳 戦国時代』がamazonランキング1位になったのか」。B&Bではこれまで多くの作家や出版関係者が登壇し、様々なテーマでトークショーが行われてきたが、その中でも自虐度ではぶっちぎりで1位間違いナシと思われるこのタイトルは、房野さんに書くきっかけをくれた、友人でもあり同期でもある構成作家の山口トンボさんと考えたものだそうだ。しかも緊張からか、この日は楽屋から本人曰く「スーッと出て」しまい、なんとトレードマークの眼鏡(素通しなので問題はない)を忘れたままスタート。

 まずは“売れない”というタイトルにしてしまったことを激しく後悔している、と房野さん。「売れない、っていうと今後永久に世に出られないみたいなので、“売れてない”にしといてください!」と懇願。ちなみにここでのトークショーは2人以上で行うことが多いが、こんな自虐タイトルに決まったこともあり、「だったら1人でやろう」と思ってB&Bへその旨を伝えると、「え? 1人でやるんですか?」とビックリされたという。しかしその危惧も杞憂となり、当日の会場は満員御礼となった。

 房野さんは「今日は本ができるまでの裏話なので、笑いが起こらなくてもいいじゃないですか」「今日の裏話はダ・ヴィンチニュースさんの取材で話したこと、ほぼそれです。読んだ方いらっしゃいますか? 読まなきゃ良かったね!」と畳み掛け、会場は爆笑。また自己紹介で「史典」という名前について「まるで“歴史の事典”みたいな名前で、この本を書くことを示唆していたような名前をくれた親に感謝です」と不思議な縁を感じているということから、トークは本題へ。

■キングコング西野さんからのアドバイス

『超現代語訳 戦国時代』を書き始めたきっかけは、トンボさんが出演していたバンドのライブの終了後に、いつも「房野をどうしようと考えてくれる」というトンボさんとキングコングの西野亮廣さんと飲んでいた席でのアドバイスから始まったという。「漫才やコントも面白いけど、ライブっていうものは刹那的だから、何か文字に残したほうがいい」という西野さんの言葉に、「シンプルだけど盲点だった」と感じたという房野さん、帰宅してライブで演っていた戦国ネタの「応仁の乱」だったら書けると思い、フェイスブックにアップ。すると西野さんにシェアされたこともあり、「普段はいいね!が20もあればいいのに、このときは800くらい、シェアは300以上」という「ひっきりなしに通知があってケータイがパンパン光る」異常事態だったそうだ。

 その後、様々な反応が楽しくなって書いていたところ、知人から「有料化した方がいいのでは?」というアドバイスをもらい、西野さんに相談。すると「マネタイズするタイミングにはまだ早い。今は広げることをやれ」と言われ、そのままフェイスブックでの掲載を続けていたところ、西野さんの絵本『えんとつ町のプペル』などを担当する、房野さんも旧知の幻冬舎の編集者からLINEで「面白い! 正直こんなに書ける人だと思ってなかった!」と連絡があったという。しかもお互いに連絡先は知らなかったが、なんとトンボさんのライブで偶然連絡先を交換していたという、これまた不思議な縁から書籍化へと話が進む。

■ピース又吉さんからの嬉しい言葉

「まずはネットの『幻冬舎plus』に連載をして種を蒔いておきましょう。そこでバズったら、話題になるはず」という編集者さんのアドバイスもあり、「ちょっと広告になれば」と思っていたという房野さん。ところが「東大生も唸った! 超現代語訳・戦国時代」というタイトルの記事がアップされると、一気に注目を集めることに! しかも房野さんの記事がアップされるごとに会員登録数が増えるというミラクルまで巻き起こした。

 いよいよ本になる、という前に房野さんが相談に行ったのが、芥川賞作家のピース・又吉直樹さん。読むなり「おもろいわ!」と褒めてもらい、アドバイスまでくれたという。さらには「房野は自分で気づいてへんかもしれへんけど、文章上手いから、もっと書いたほうがええよ」と言ってくれたそうで、「芥川賞作家ですよ! そりゃ嬉しいですよ!」と、又吉さんのカッコ良さにメロメロな房野さんでした。

 その後運命の「部数会議」が行われ、終了後に編集者さんから電話が。「やばいです、房野さん……」という沈んだトーンだったため、出版取りやめになったのか?と思ったら、「初版2万です!」「え!」という衝撃展開に! 出版不況と言われる中、これは大英断の数字。すると「amazonでたびたび品切れになって、本が売れているのになかなか重版がかからない理由はここにあるんです!」と説明した房野さん、「そうなんです。今日来てもらったのは他でもありません。ここにいる50人の方が、1人4冊売ってくれたら、200冊売れるんです! 何をのほほ~ん、とした顔してるんですか! 今日のライブには、そういうカラクリがあったんですよ!」と発破をかけ、会場は爆笑に包まれた。

■自分が凡人だったから書けた

 現代語訳された軽妙な会話と、難しいと感じられてしまう歴史用語についての丁寧な説明、そして年号を極力書かないようにするなどの工夫したという本書。「この本の何が良かったかの理由は、自分が凡人だったから」という房野さん。専門家ではない、難しいことはわからない芸人の自分だったからこそ、歴史を知らない人に面白さを伝える書き方ができたんじゃないか、と感じているという。

 最後に「天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず」という孟子の言葉をスクリーンに映し、「これはタイミングがどんなによくても、環境が悪ければダメ。たとえ環境が整っていても、人の和が一番大事、というめっちゃ好きな言葉なんです」と説明。「トンボちゃん、西野さん、又吉さん、そして編集者さんという4人がいたことが、“なぜ売れない芸人の僕が、200万PVの人気連載を持ち、処女作『超現代語訳 戦国時代』がamazonランキング1位になったのか”の理由ですと思う次第であります!」と締めくくった。

 すると「告知を1個させてください」と言う房野さん。もしかして第2弾の書籍化が決定か?と会場が色めき立ったところ、「トンボちゃんのDJイベントが11月12日にあります! タイトルは「TOMBO DISCO vol.1~異業種MIX DJ PARTY~」で、130人のキャパなのに、なんと売れたのはたった7人! 『このまま終わったら、伝説のAKB48の1回目のライブみたいだ』とかトンボちゃんが逆にめっちゃポジティブになってるので、みんな行ってあげてください!」というまさかの展開に! 最後の最後まで「縁」を大事にする房野さんなのでした。


笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳 戦国時代
房野史典/幻冬舎

東大生も、あまりの面白さにびっくりした! ! マンガみたいに読めて、ドラマよりもワクワク。教科書では読めない、裏話や面白エピソードも満載の、歴史物語。

欲、プライド、派閥、戦略、信頼、裏切り、友情、愛、別れ……。戦国時代は、現代社会にも通じる“すべて”が詰まった、笑い涙ありのキング・オブ・ドラマだ!

【プロフィール】
ぼうの・ふみのり お笑い芸人。1980年岡山県生まれ。名古屋学院大学卒。2001年4月、大学の先輩だった吉村憲二と結成したお笑いコンビ「ブロードキャスト!!」でツッコミを担当する。天然系ボケの吉村へのスピーディーかつ攻撃的にツッコむ漫才を得意とする。ロバート山本博、はんにゃ金田哲ら歴史好き芸人と結成した6人組ユニット「六文ジャー」のメンバーとして、月一開催のライブ「軍師と足軽」を行っている。

取材・文=成田全(ナリタタモツ)

最終更新:10/19(水) 12:50

ダ・ヴィンチニュース

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