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ポンド急落。しかし中長期的にヤバそうなのはユーロの動向だ 英国「ハード・ブレグジット」懸念

現代ビジネス 10/17(月) 7:01配信

 10月に入り、英国が移民の流入を阻止し、代わりにEUの単一市場へのアクセスを喪失するという“ハード(強硬な)ブレグジット”への懸念が高まっている。

 これを受けて為替相場では、主要通貨に対して英ポンドが大きく下落している。7日の朝8時には投機的な動きを伴って、ポンド/円の為替レートが131円台から121円まで瞬間急落(フラッシュクラッシュ)し、31年ぶりの安値を付ける場面もあった。

 英国が関税や数量制限の撤廃という恩恵を失い、EUの単一市場にアクセスできなくなれば、英国経済の地盤沈下は避けられない。それに加え、EUに残るドイツやフランスなどにも「英国が出るなら我々も」とEUから離脱し、自国の決定権を国民の手にとり戻そうという考えが高まりやすい。

 そうなると欧州の政治は、需要の低迷を支えるために中長期的な観点で必要な判断を下すよりも、目先の支持確保を重視するだろう。各国がEUの将来像を共有し、改革にコミットすることは難しくなる。

 その結果、単一通貨ユーロに加盟する国々の非対称性が解消されず、ユーロ持続性への懸念は高まりやすい。

ハードブレグジット

 10月2日、英国保守党の党大会にてメイ首相は、2017年3月末までにEU離脱(ブレグジット)の意思を通告すると表明した。この通告期限は市場が想定していたタイミングよりも早く、ブレグジットへの懸念、警戒感につながった。

 メイ首相はEUの単一市場へのアクセスを維持するとしつつ、英国への移民流入を止めることも重視している。

 メイ首相の発言を確認すると、英国に決定権を取り戻すことが重視され、移民流入阻止への考えは強いようだ。

 国民投票でEU離脱が決定されたのも、移民が英国民の暮らしを圧迫し、難民問題がテロの発生など社会情勢の不安定化につながっているとの懸念が強いからだ。単一市場へのアクセスも重要だが、それ以上に人の移動をコントロールしたいというのが英国の本音なのだろう。

 一方、ドイツやフランスは、単一市場へのアクセスを維持するためには移民を受け入れる必要があると一切の妥協を許さない考えを持っている。

 現に7日の「フラッシュクラッシュ」は、フランスが強硬姿勢を強調したことに影響された。この状況が続くと英国とEUの離脱交渉は物別れに終始し、ハードブレグジットが実現する可能性は軽視できなくなる。その場合、欧州経済は大きな混乱に陥るだろう。

 離脱通告後、2年の交渉期限内に英国とEUの考えがまとまらない場合、ハードブレグジットの可能性は高まる。そうなると、英国経済の低迷懸念はさらに強まるはずだ。英国がEU加盟国に認められた関税・数量制限の撤廃というメリットを失い、対EUを中心に輸出が停滞するシナリオはその一例だ。

 単一パスポート制度によってロンドンを拠点に欧州事業を展開してきた金融機関は、拠点を大陸欧州に移すだろう。その他の企業も然りだ。

 その結果、資本が英国から流出し、失業の増加、賃金の減少などは不可避と考えられる。フラッシュクラッシュ後も、そうした懸念を織り込みつつ、ポンドは軟調に推移している。

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最終更新:10/17(月) 7:01

現代ビジネス

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