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今どき東大受験には「非効率な勉強」が必須だ

東洋経済オンライン 10/17(月) 10:00配信

計11名の男子生徒が大学合格を目指し共同生活をする「東大合格シェアハウス」。主宰するのは、「東大合格請負人」として数々の合格者を導いてきた時田啓光氏だ。なぜ集団で勉強し、合格を目指すのか?  対談後編では、大きく転換し始めた大学受験のトレンドに照らし合わせ、議論を深めていく。
前編:東大合格請負人が「シェアハウス」に注ぐ熱血

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■効率を求めるなら個別指導や独学では? 

 鬼頭:時田さんのユニークな、それでいて理にかなっている指導方法はよくわかりましたが、別に共同でやらなく、1対1の個別指導とか、家庭教師でも十分じゃないかな、という気もするのですが。

 時田:確かに、すでに自己管理や勉強方法を確立させている子には十分かと思います。ただ、実際にそれができる子は少ないです。「とりあえずこれでいい」とか「この公式は覚えたから後は試験で書けばいい」など、一人よがりな勉強をしている子が多いというのが現実。そういう子たちは、成績の伸びがある程度のところで止まってしまう傾向があります。

 共同で勉強をすると、他人に説明をしなければいけない場面が必ず訪れます。その時に「もっとこういう情報もあるよ」とか、「さっき習ったのはABCの順だったのに、今ACBの順の説明になっていておかしいよ」とか、言われて気付かされるんですね。「そうか、自分はここがまずいんだ」というのに素早く気付いて、修正していく。そのために、このような集団学習はすごく重要だと思いますね。

 鬼頭:私自身共同で勉強をしたという経験があまりなく、「勉強は一人でするものだ」と主張しています。実際それで東大に受かりましたし、私の友人たちの中には暗記に偏った勉強法をして合格した人たちがたくさんいました。なんだか、まだ腑に落ちない感じもあります。

「井の中の蛙」は、将来必ず苦労する

 時田:もちろん、そういう人もいます。それでもほかの立場を知らないと「井の中の蛙」になってしまうと思う。大学受験は突破したものの、就職活動とか、働き始めた後とか、どんなふうに努力して状況を打開したらいいかわからない……みたいな。決まった答えを求めることは得意でも、いざ社会に出るとまったく違うものを要求され、迷ってしまう、というパターンです。

 こういう「自分で考える力」は高校生くらいまでに身に付け、大学ではゼミなどの集団で討論するような素地を育てていくのがベストかと思います。そうすれば社会人になったときに、十分に自分の実力を発揮できます。

 鬼頭:なるほど。確かに自分自身を振り返ると、高校時代に「何がやりたいのか」など、全然考えていませんでした。今は「効率の良い勉強を世の中に伝えたい」という使命を感じていますが、大学の後輩などに会うと、いまだに自分探しをしているような人たちもいます。将来を考える力を若い時に身に付けるということは重要ですね。

 時田:共同生活って、生まれ育った環境や文化が全然違う人が集まるので、自分の意見が通らない場面は多々あります。それが原因で「うまくいかないから、今日の授業は休ませてください」という子も出ますし。だけど、何回も何回も考え、そこを乗り越えた子は、授業に対する姿勢が変わる。このような経験は、社会人になってからも役に立つのです。

■受験本番までの「精神面」が変わってくる

 鬼頭:私自身、大学の時に所属していたボート部で合宿生活を3年間続けていましたので、おっしゃることはよくわかります。ただ「大学合格」という点だけに特化してみると、やはり共同学習は若干遠回りだと考えてしまいます。今高校3年生(あるいは浪人生)です、来年の2月に入試があります、という時に、最短で合格レベルに持ってくことは出来なさそうです。

 時田:確かに、効率がよくない面もある。ただし、それ以上の価値があると私は考えています。それが精神面の鍛錬です。たとえば、入試前日ってすごく不安になると思います。その結果うまくパフォーマンスを発揮できず、不合格になることもあるでしょう。

 ただ、集団で生活をしていると、「自分一人の力ではなく、彼らがいたから今の自分がいる」とか「一緒に大学生になりたい」という気持ちが自然と出てきます。そういった気持ちで挑む試験でのメンタルの強さは、全然違ってきます。勉強の効率で劣っても、受験本番までの精神面までトータルで考えると、集団のほうが高いパフォーマンスを出せる思います。

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最終更新:10/17(月) 10:00

東洋経済オンライン

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