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サムスンは「スマホ爆発」を防げなかったのか

東洋経済オンライン 10/17(月) 5:00配信

 旗艦モデルで発生した事故が、深刻な打撃をもたらしている。

 韓国サムスン電子は10月11日、電池の発火事故が相次いだスマホ「ギャラクシーNote7」の生産と販売の終了を発表。同機種はリコール(無償の回収・修理)を実施していたが、その後も発火が多数報告されていた。

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 翌12日には2016年第3四半期(7~9月期)決算の速報値を下方修正。Note7の生産中止の影響を加味し、営業利益予想を2.6兆ウォン(約2400億円)引き下げている。

■事故原因は電池ではなく、ICか

 問題の電池が発火した明確な原因については「現在も調査中」とするのみだ。Note7に搭載された電池はサムスンSDI製と、TDK傘下の中国・アンペレックス・テクノロジー・リミテッド(ATL)製。当初はサムスンSDI製に問題があるとされていた。

 しかし、ATLが主要サプライヤーとなった交換品でも発火するケースが見られたことから、「電池の中身よりも充放電を制御するICに問題があるのではないか」(電子機器の分解調査会社・フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズの柏尾南壮氏)との見方がある。

 Noteシリーズの従来機種は年間2000万~3000万台の販売量があった。影響はサプライヤー側にも及びそうだ。

 「“痛み分け”するしかないでしょうね」。部品を供給する日本の電機メーカー社員はため息交じりに話す。「製品・仕掛かり品・材料、どの段階でも在庫がある。返品できるものは返品するが、できないものは損害を折半する可能性がある」。

背景には「追われる焦り」

 事故の背景には王者の焦りもありそうだ。

 サムスンにとってスマホは、全体の売上高の5割(約9兆円)を占める基幹事業。ただ、近年は市場成長の鈍化に加えて、ファーウェイやシャオミなど、中国の新興メーカーが猛追している。

 低価格帯を攻める中国メーカーに対し、サムスンはNote7に代表される高価格帯を強化してきた。だが、ピークの2013年に約2.5兆円あった事業利益は15年に約9100億円に落ち込んでいる(スマホ事業を含むIT・モバイル通信事業)。

 Note7については、9月に発売された米アップルのアイフォーン7より先に発売するために開発を急いだとみられ、一連の焦りが事故を引き起こしたともいえよう。

■副会長の手腕が問われる

 「サムスンは半導体や有機ELパネルをスマホメーカーに納めている。ほかのメーカーに需要が移っても(電子部品の利益が過半を占めるため)全体に与える影響は深刻ではない」(ソウル大学校ビジネススクールのソン・ジェヨン教授)との声もある。

 ただ今後、発火事故が相次いだモデルを携帯会社や消費者は受け入れるだろうか。原因究明はもちろん、販売戦略の見直しやブランドの再構築も必須の課題だ。

 サムスンは2014年に李健煕(イゴンヒ)会長が倒れて以来、創業家3代目の李在鎔(イジェヨン)副会長が指揮を執っている。経営権の継承を進める中、難局を乗り切れるのか。在鎔氏の手腕が問われそうだ。

田嶌 ななみ

最終更新:10/17(月) 5:00

東洋経済オンライン

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