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創業者の“お骨”持参で社長に「辞めなさい」 大戸屋のお家騒動

デイリー新潮 10/17(月) 5:56配信

 街の定食屋から、国内350店・海外100店の一大外食チェーンに成長した「大戸屋」。だが、実質的な創業者である三森久実氏が昨年7月に57歳で急逝すると、創業家と現経営陣の間でお家騒動が勃発。そして先頃、経緯を調査した第三者委員会が「報告書」をまとめたのだが、そこにはまるでドラマのワンシーンのような骨肉の修羅場が赤裸々に描写されていた。

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 弁護士が約50日をかけて作成した「調査報告書」は、400字詰原稿用紙に換算すると約200枚で、ちょっとした小説に相当する。なお、創業家すなわち久実氏の妻・三枝子夫人と長男・智仁氏(27)はこの調査に応じていない。

“物語”は、創業者・久実会長の肺がん罹患が判明した平成26年7月に始まる。ナンバー2の窪田健一社長(46)は会長の従弟。一方、店長として修業中だった会長の息子・智仁氏は、8月に執行役員社長付になると、翌27年6月には常務取締役海外事業本部長に昇進した。会長が逝去したのはその1カ月後の7月27日である。

 8月1日、告別式。弔辞は窪田社長でなく、主取引銀行OBの相談役が読んだ。

 週明けの3日、智仁氏は香港転勤を命じられる。その場では了承した智仁氏だが、まもなく銀行OB氏から社長に「智仁が怒っていた。私も同感。葬儀2日後に早すぎる」と伝えられる。

 8月下旬、社長と智仁氏との関係を修復すべく、会長が生前に愛用した焼鳥屋で宴が催される。ところがこれが逆効果で、智仁氏は「僕が継承者」、社長は「お前には無理」と激しい口論になってしまう――。

 いかがだろう。駆け足で説明したが、いずれも連続ドラマ1回分にはなりそうな丁々発止が、報告書では語調まで生々しく再現されている。なお、ここまでで全体のまだ4分の1だ。

■“社長をお辞めなさい”

 そして9月8日。前半最大のヤマ場が訪れる。

〈(以下、同事実のことを社内での呼称に従い「お骨事件」という)〉

 とご丁寧な但し書きがあるその“事件”について、報告書はこう記している。

〈三枝子夫人は遺骨を持ち、背後に位牌・遺影を持った智仁氏を伴いながら、裏口から社内に入ってきて、そのまま社長室に入り、扉を閉めた上、社長の机の上に遺骨と位牌、遺影を置き、その後、智仁氏が退室し、窪田氏と二人になったところで、同氏を難詰したものと認められる〉

「ノックもなく無言で入ってこられました」

 と窪田社長。この先はじきじきにご説明いただこう。

「私の挨拶を無視し、三枝子さんはソファを指し“そこに座りなさい”。着座するといきなり“窪田、社長をお辞めなさい。社長は智仁にやらせます”と。その後30分、“恩知らず”“誰のお蔭でここまで……”などと続き、更に“何故、智仁が香港に行くのか”“私に相談もなく”と責められました。遺影をかざして“主人が見てますよ”とも。その間、私は呆然と聞くだけでした」

 創業家関係者が語る。

「実は、久実氏には前妻との間に息子がいて、大戸屋米国法人の副社長になっている。彼の存在が、創業家の焦りの遠因にあるかも」

“物語”はこのあと、8億円の功労金を巡る攻防に突入し、かの銀行OB氏が暗躍する。怒りあり、涙あり、謎のフィクサーの登場あり。そして思わず“そりゃないよ”と叫びたくなるどんでん返しまで用意されている。

 1966年に劇場公開されヒットした映画「男の顔は履歴書」に勝るとも劣らない、傑作ドラマである。

「ワイド特集 男の顔は履歴書 女の顔は請求書」より

「週刊新潮」2016年10月13日神無月増大号 掲載

新潮社

最終更新:10/17(月) 5:56

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