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これからの人材育成業界に大切なのはマーケティング的発想 リーダー自らも新たなサービス・商品を生み出す「事業家」であるべき/眞崎大輔さん(トーマツ イノベーション株式会社 代表取締役社長)(前編)<HR業界TOPインタビュー>

日本の人事部 10/18(火) 7:30配信

多くの企業が「人材育成」の重要性を認識しています。しかし、中小企業の場合、予算的な制約、あるいは人材育成のノウハウそのものがないなどの理由で、外部研修の導入などに踏み出せずにいるケースも少なくありません。そんな中小企業に、一定の会費を払えばいくらでも研修やセミナーを受講できる「定額制」のプランを提案し、持続的な人材育成の新たな可能性を広げている企業があります。すでに約9500社の中堅・中小・ベンチャー企業と契約し、これまでに180万人以上のビジネスパーソンが受講している「Biz CAMPUS」を運営する、トーマツ イノベーション株式会社です。人材育成業界でそれまで例のなかった「定額制」サービスを立ち上げ、成功に導いたのは、現在同社の代表取締役社長を務める眞崎大輔さん。いかにしてこの画期的な事業を思い付き、業界ナンバーワンのサービスに育てることができたのか。眞崎さんのバックグラウンド、同社の創業の経緯、経営者としての信条、今後目指す方向性などについてお聞きしました。

経営コンサルティングの世界から、新規事業立ち上げの責任者に

―― 眞崎社長は経営コンサルタントとしてトーマツグループ(現・デロイト トーマツ グループ)に入社されたとうかがいました。そのバックグラウンドからお聞かせいただけますか。

私のもともとの専門は「マーケティング」です。大学時代(早稲田大学)は商学部で、その時にマーケティングを学びました。しかし、最初からそれを仕事にしようと明確に意識していたわけではありませんでした。きっかけは大学3年生の時、現役の経営コンサルタントを講師に迎えた「日本のマーケティング最前線」といったタイトルのセミナーに参加したことです。そこでの話が非常に面白くて、刺激を受けたんです。今から思えばセミナーの一つのテクニックですが、冒頭でその講師がいきなり「マーケティングとは見えないものを見ることだ」と。「氷山の水面から上の姿だけを見ていてはいけない。本当は水面下にはるかに大きな氷の塊があるのだ」というような話をしていました。当時、私は学生でピュアでしたから、世の中に送り出されるさまざまな商品の背後には必ずマーケティングがあり、それにかかわるコンサルティングという仕事があることを知って、自分がやるべき仕事はこれだと思ったのです。

1年半後に新卒で入社したのは、そのときのセミナーの講師が在籍していたコンサルティング会社。職種は希望通りマーケティング・コンサルタントです。主に企業の売上アップを支援する仕事に取り組みました。約3年間、さまざまな経験ができて、企業業績を上げる醍醐味(だいごみ)と、その大変さがよく分かりました。その後、新しく設立された広告代理店に転職し、マーケティング局のマーケティング・プランナーという仕事に就きました。こうした経験が「マーケティング」という、現在も続く自分の軸をつくってくれたと思っています。

ただ、広告業界で3年ほど働いているうちに、「やはり以前のように企業業績にかかわるマーケティングに携わりたい」という気持ちが次第に強くなっていきました。そんな時に、最初の会社の同僚たちが、デロイト トーマツ グループに転職していて、「うちに来ないか」と誘ってきたんです。いい機会かもしれないと思って再びコンサルティング業界に戻ることにしました。それがデロイト トーマツ グループに入ったきっかけです。

―― その後、現在につながる人材育成事業に、どのような経緯でかかわることになったのでしょうか。

トーマツでの最初の仕事は経営コンサルティングでした。仕事自体はとても順調で、楽しくやらせてもらっていましたが、4年ほど経った時に、私が所属していた事業部で新しいサービスを立ち上げることになりました。どのようなサービスかは決まっていなくて、まったくの白紙から新規事業を考えることになりました。以前から機会があれば新規事業を立ち上げてみたいと考えていたので、ぜひ自分にやらせてほしいと思い切って手を挙げました。ここが、経営コンサルタントの仕事から現在の仕事への転機になりました。新規事業プロジェクトとはいっても、最初は責任者である私も含めて2~3名の小さなチーム。それが2004年でした。

この時の新規事業が、後の「Biz CAMPUS(ビズキャンパス)」、つまり現在のトーマツ イノベーションの主力事業になっていくわけですが、最初からこれという明確なアイデアを持っていたわけではありません。可能性のあるテーマとしてまず考えたのは「環境」と「人材育成」の二つ。いろいろ調べた結果、人材育成に絞って取り組んでいくことにしました。

「人材育成」は、どの企業にとっても大事なテーマで、はやり廃りもない。その確信はありましたが、それをどういう切り口で事業化していくかについては紆余(うよ)曲折がありました。最初に考えたのは、いわゆる「ビジネススクール」。社会人向けで、受講生は企業から派遣されてくるイメージです。さまざまな経営テーマに関連する講座のほか、トーマツのブランドを生かしてファイナンスの講座なども用意し、これからのビジネスに必要な新しい知識を伝える場にできたら面白いと考えました。

試験的に立ち上げてみたところ、受講者はそこそこ集まるものの、爆発的には増えていかない。新規事業としては若干弱いわけです。そこで、急きょ方向性を考え直すことにしました。プロジェクトの責任者ですから、この時は相当悩みましたね。文字通り明けても暮れても、お風呂に入っていても電車に乗っていても、常に新規事業のことを考えている状態。そのようにしばらく悩んで結論に至ったキーワードが、シンプルに価格の「安さ」ではないか、ということだったんです。

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最終更新:10/18(火) 7:30

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