ここから本文です

ゾウやティーポットも、米国の登録「史跡」がヘン

ナショナル ジオグラフィック日本版 10/18(火) 7:31配信

法律制定から50年で登録9万件以上

 米国ニューヨーク、SOHOの象徴となっている歴史的な建物ファサード群、ワシントン州にあるティーポットの形のガソリンスタンド、ニューハンプシャー州にある米国に初めてやって来たコッカースパニエルの墓・・・。

米国のヘンな登録「史跡」をもっと見る写真8点

 建築の様式も歴史的重要性も異なるが、こうした建物には共通点が1つある。米国政府が、保存の価値ありと認めていることだ。いずれも、9万件を超す国家歴史登録財に数えられている。この制度の元になる国家歴史保全法が成立した1966年10月15日から、今年で50年になった。

「不思議に思える」登録財も

 登録史跡の中には「歴史的」という評価が不思議に思えるものもあるかもしれないが、米国の歴史と文化を保存するという趣旨には合致している。植民地時代のものであろうと、ドライバーの目を引くために道路沿いに造られた巨大なコーヒーポットであろうと関係ない。登録史跡はそれぞれが、その場所の昔の姿だけでなく、当時の人々がどのように暮らし、この国がどう変わってきたかを伝えている。

「国家歴史保全法は、米国の建造環境に関する実に画期的な法律です」と、米国ナショナル・トラストの代表ステファニー・ミークス氏は、語る。

 歴史的建造物を保存する取り組みは同法の成立以前にもあり、州や市は地元の歴史が失われないよう努めていた。だが1960年代半ばには、未来に向けた都市形成がより重視され、過去の歴史が軽視されがちになった。1950年代に建設が始まった州間高速道路網は人口集中地域をつなぎ、再開発事業が各地で進められていた。「そうした事業の多くで、歴史地区や象徴的な建造物がブルドーザーでつぶされ、超高層建築や、真新しい建物に置き換わっていったのです」とミークス氏。

 国家歴史保全法自体には、建物の取り壊しを止めるまでの力はない。同法の効果はむしろ、開発に関わる議論に保全活動家が「出席できる」ようにしている点にある。それが可能なのは、この法律が建物を史跡と宣言し、州レベルでの保全事務所設置を求め、歴史的資産に影響する事業に連邦が出資する場合には審査を課すという枠組みを導入しているからだ。

 ミークス氏は、「身の回りの歴史を認識し、敬意を払えば、建物の未来についてさらに活発な議論が生まれるでしょう」と語る。

 その議論は、楽しいものばかりではない。数千の史跡が国家歴史登録財となっているケンタッキー州ルイビル市の市長、グレッグ・フィッシャー氏は、「建設計画が発表されると、時に過剰な騒ぎになります。渦中の歴史的建造物が登録財入りしている場合もあれば、していない場合もありますから」と話す。

1/2ページ

最終更新:10/18(火) 7:31

ナショナル ジオグラフィック日本版

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ナショナル ジオグラフィック日本版の前後の記事

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。