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今話題の白紙の領収書、法的に問題がないか税理士が調べてみた。(藤尾智之 税理士・介護福祉経営士)

シェアーズカフェ・オンライン 10/18(火) 5:53配信

私たちに身近な領収書。日ごろ経費精算をしない人にはどうってことのない紙きれです。しかしこの紙切れは、会社の経理、税理士、税務署にとってはとても大事な存在といえます。領収書は他人が発行する支払い証明書です。そのため、その証明に不備があれば経費として認められないということもあります。ところが最近、不備どころか白紙の領収書が法律的に問題ないとされているようです。いったいどういうことなのでしょうか。

■所得税や法人税から考えてみる
所得税法や法人税法は利益をもとに税金を計算します。利益は、売上から経費を差し引いたものです。したがって、経費は税金を多くも少なくもする大事な要素です。ところが、所得税法も法人税法も領収書について特に規定は設けていません。納める税金の額を左右する力を持っているにも関わらず規定がないというのも不思議です。規定がない以上、白紙であっても法律上問題ないと言わざるを得ません。

なぜ規定がないのか少し考えてみたところ、所得税も法人税も申告納税方式だったことを思いだしました。申告とは、自分の責任で計算して書類を提出するというものです。そのため、自分の責任で作成する帳簿に必要事項(取引の年月日、相手方の名前、事由、金額)が適切に記載してあれば良いことになります。仮に自分の帳簿に疑義があればそれを証明するものとして第三者が作った領収書を示すという程度です。そのため、所得税も法人税もあえて領収書の形式にまで言及していないと考えられます。

税務調査の時も、領収書の形式よりも、その支払いが本当にその会社やその個人の経費なのかどうかが論点となります。とはいえ、日付や金額がない領収書であれば、税務調査官にとってはつっこみどころ満載となりますので、自衛のためにも領収書の記載事項に漏れがないようにしておくことは必要です。

ところで、よく知られている所得税の医療費控除では、介護サービスを受けた場合について「領収証」の記載事項等を示しています。理由として介護保険サービスは医療費控除の対象となるのかどうかわかりにくいためと考えられます。それでも、領収金額と会社名(介護事業所名)があれば良いことになっているので、日付とか個人名とかなくて本当に良いのかと逆に不安になります。

■印紙税から考えてみる
印紙税法では、領収書とは受領事実を証明するために作成し、その支払者に交付する証拠証書と規定しています。ところが、印紙税法は、印紙税を徴収するための法律です。印紙税は金額に着目しています。そのため、領収書に記載された金額について取り決めがあるものの、その他の記載項目について規定はありません。以上から、印紙税法としても、領収書が白紙であっても法律上問題がないと言えます。

そういえば、印紙税法は、文書課税法とも言われています。紙に書かれた状態で初めて印紙税の対象となります。そのため、PDF化された領収書は印紙税の対象となりません。売買契約書も同じように電子化されている場合は、印紙を貼る必要がなくなります。売買当事者や契約当事者が紙ではなく電子データでという合意ができれば、合理的な節税となります。難しいと思うIT技術にもこういった使い方もありますので、試してみる価値はあります。

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最終更新:10/18(火) 5:53

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