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【2016年ドラフト候補】無名投手が1年で関西大学野球No.1投手の評価へ。MAX152キロ右腕近畿大学・畠世周

ベースボールチャンネル 10/18(火) 16:00配信

速い投手から勝てる投手へ。四球率が激減

 近大福山で過ごした高校時代、畠世周(はたけ・せいしゅう)の名前を知るのは、よほどモノ好きな高校野球ファンしかいなかったはずだ。高校時代は広島で県ベスト16という成績が最高で、エースとして責任を与えられたのも3年夏から。そんな無名ともいえる存在だった畠は現在、関西大学野球に在籍する投手の中で最も高い評価を受け、ドラフト上位候補に上がるまで成長を遂げた。

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「高校時代は自分がプロに行くというイメージは持てなかった。ただ球速には自信はあったので、手っ取り早く注目を受けるためには、大学ではストレートを磨く作業から始めました」

 そんな本人の言葉の通り、球速を追い求めた結果大学4年間で球速のMAXは152キロを数えるまでに伸びた。さらに畠は身長186cmから投げ下ろす角度もあり、細身ながら手足が長くリリースポイントが見にくいため、打者からすると非常に打ちづらさを感じる投手といえる。

 もともとコントロールに課題があった。三振はとれるが、四球率も高い本格派右腕。それが、2年時までの印象だ。畠がプロから注目を集めるようになったのは3年時の秋季リーグ戦。昨年度のドラフトでジャイアンツから1位指名を受けた桜井俊貴(立命館大)らと投げ合い、6完投、4完封という内容で6勝を挙げた。4年時には、日本新薬相手にノーヒットノーラン、阪神タイガースとの練習試合では5回を3安打0失点に抑え、その実力を証明してみせた。この間課題だった四球率の高さは激減し、打たせてとる投球術も身につけた。

 その背景には、畠自身が3年時に感じた好投手達と自身の比較が根底にある。

まだまだ発展途上

「桜井さんの投球を見ていても、全ての回で良いボールを投げているわけではない。ただ、ピンチやここ一番の場面でギアが上がる。そして、打者に与える威圧感もベンチから見ていても感じました。ただ迫力のあるボールを投げ込むのではなく、コーナーをついた投球ができるので野手のリズムも良くなる。そのリズムが攻撃にも伝わるから試合にも勝てるし、『エースとはこういう存在だ』ということを学べました。僕自身の強みは球速ではなく、内角を攻められる姿勢。アウトローは投手の基本ですが、僕はそれに加えインコースで勝負できる投手でありたい。精度には強い自信を持っていますし、インコースを強気で攻める投球はチームの野手陣にも伝わると考えるようになりました」

 4年春の秋季リーグ戦では、最多の11イニングを投げ抜き、防御率1.52の数字を残したが勝ち星には恵まれず、1勝5敗に終わった。しかし、この結果を受け、さらなるモデルチェンジを図り進化を続けている。

「僕の理想は打者にスイングをさせないことなんです。そのためには球威のあるストレートも必要ですが、緩急も必要となる。より高いレベルを考えた時、よほどキレがありスピンのあるボールを投げ込まないと通用しない。自分は現段階では、上のレベルで三振をバンバンとれる投手ではないし、自分の投球よりもチームが勝つことを優先して考えています。そのためには、打者にとって”勝たせたい”と思われるような日頃の行いも大切ですし、変化球のレベルを磨くことも課題です。チェンジアップ、カットボールには自信がありますが、スライダーはまだまだ改善の余地がある。とにかく球速を追い求めていた昔とは違い、今は投手としての総合力をいかに伸ばせるかという意識に変わった部分が、大学で成長したことだと思います」

 現在は右肘痛に悩まされ、投球を控える状況が続いている。だが、状態は良化しており、リーグ戦での登板も視野に入ってきた。強気なメンタルや、恵まれた体躯と体力というプロで活躍するための要素は充分だ。そして、いまだ成長の余地を大きく秘める高いポテンシャル。MAX152キロの”素材型”右腕は、まだまだ発展途上だ。


栗田シメイ

ベースボールチャンネル編集部

最終更新:10/18(火) 16:00

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