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超至福! 京急「ビール電車」の大盤振る舞い

東洋経済オンライン 10/18(火) 6:00配信

 10月14日の夕方、帰宅ラッシュ真っ只中の京急横浜駅。18時49分、ひっきりなしに電車が発着するホームの片隅から、ちょっと雰囲気の違う4両編成の電車が川崎方面に向けて出発した。車内には「キリン一番絞り」の垂れ幕とちょうちんが下がり、乗客の手にはビールが……。この日運転された「京急×キリンビール横浜工場 90周年記念ビール電車」だ。

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 このビール電車は、その名の通り京急沿線にあるキリンビール横浜工場が今年で操業90周年を迎えたことと、同工場の見学施設がこの10月1日にリニューアルオープンしたことを記念して運転。平日の夜に走行する電車の中でビールを楽しむイベントは、鉄道ファン向けなどの企画を積極的に展開している京急電鉄でも初の開催だった。

■生麦から「生」樽ビールが

 発売開始から約5分で完売したという、幸運の切符を手にした約80人の参加者を乗せた電車は横浜を発車すると、一路川崎方面へ。最初の1杯として配られた缶ビールが空になるころ、電車は横浜工場最寄り駅の生麦駅に停車した。この駅で、キリンビール横浜工場の勝間田達弘工場長らが直送の生ビール樽を抱えて登場。車内には歓声が沸き起こった。

 「樽を積んできました。皆さん一杯飲んでください!」電車に乗り込んだ勝間田工場長の音頭で、通過する駅のホームにまで届きそうな「カンパーイ!」の声が響き渡ると、いよいよ本格的な「車内の宴」が始まった。生麦駅を発車した電車が目指す先は、京急川崎駅から分岐する大師線。この全長4.5kmの短い路線を2往復して、約2時間のビール飲み放題の旅を楽しむのだ。

「念願だった」ビール電車

 「ビール電車、ずっとやってみたかったんです」と、キリンビール横浜工場の総務広報担当、籠倉啓子さんはいう。「神奈川県内ではビール電車を見たことがない気がして」。1年ほど前、工場90周年記念イベントで何かできないかと考えていた籠倉さんが、たまたま別件で京急電鉄とやりとりをした際に「ビール電車ができないだろうか」との相談を京急側に持ちかけたのが、今回のビール電車実現のきっかけだったという。

 京急側も「われわれもビール列車はずっとやりたかったんです」(総務部広報課・木村めぐみ課長補佐)。京急とキリンビールの縁は深く、かつては工場の近くに「キリンビール前駅」も存在したという。90周年を機に沿線を盛り上げようということで両者の意見が一致し、約1年をかけて実現にこぎつけた。

 生ビールの樽を生麦駅から積み込んだのは「ここでビールを造っているぞ、というPRを込めた演出」(籠倉さん)。同駅から工場長や醸造長らが乗り込んだのも「せっかくやるなら、ただのビール電車ではつまらない」という工夫からだ。今回はプラスチックのカップに入れたビールを配る形だったが、野球場などで見られるような、背負う形のビールサーバーで生ビールを注いで回るというアイディアもあったという。

■通勤電車で飲む「非日常」

 今回の参加代金は1人3000円。車内で振る舞われたビールは「一番絞り」のほか、横浜工場オリジナルの「横浜ピルスナー」。横浜名物の「シウマイ」で知られる崎陽軒のオリジナル弁当も配られ、通勤電車の車内はすっかりビアホールのようだ。

 中には自ら異なる味のシウマイを持ち込み、弁当と食べ比べをするなど、おつまみを持ち込んで楽しむ人も。品川にある職場の仲間4人で参加したという女性は、3杯目のビールを飲みながら「こういう(ロングシートの)電車の中でビールを飲むのは初めてです」「ホームを見ているとなんだか優越感ありますね」と、やや赤くなった顔で微笑む。

 賑やかな車内には、乗客の歓声だけでなく名調子のアナウンスも響いた。かつて京急の観光バスでガイドを務めたという伊沢喜三江さんによる案内放送だ。「数十年ぶり」というガイドに挑戦したのは、広報課の上司から「せっかくならビール電車でやってみないか」と声をかけられたのがきっかけという。「もっとシーンとしているのかと思っていたんですけど、乗ったとたんに大盛り上がりで(笑)」。アドリブを交えながらの放送は、車内に笑いを巻き起こしていた。

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最終更新:10/18(火) 6:40

東洋経済オンライン

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