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東武東上線脱線「台車の亀裂」が原因だった

東洋経済オンライン 10/18(火) 17:25配信

  東武鉄道は10月18日、東武東上線で今年5月に発生した脱線事故に関して、脱線した車両の台車枠にあった亀裂は事故以前から存在したと推定され、これが要因となって脱線に至ったとみられるとの調査結果を発表した。

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 今回の内容は、東武と同社が協力を依頼している鉄道技術総合研究所が行った調査に基づく中間報告で、国土交通省運輸安全委員会による調査も継続して行われている。

 事故は5月18日の午後0時12分ごろ発生。東武東上線の中板橋―大山間で、10両編成の池袋行き普通電車のうち、5両目の後ろ寄り台車2軸が脱線した。事故後の調査で、脱線した台車の右側に亀裂が入っていたことが確認され、これが脱線によって生じたのか、あるいは事故以前から存在したのかに注目が集まっていた。

■80万㎞走らないと生じない亀裂

 東武によると、脱線の原因は台車の「側(がわ)ばり」と呼ばれる部分に亀裂が入ったことにより、本来は各車輪に均等に伝わるはずの車体重量がアンバランスとなり、かかっている荷重の小さい車輪がレールに乗り上がったことと推定されるという。

 台車の亀裂の長さは約180㎜。同社によると、台車の検査マニュアルに基づく亀裂の進展シミュレーションでは、この程度の亀裂が生じるには約80万㎞の走行距離が必要とされていることから、今回の亀裂が脱線事故以前から存在したとみている。亀裂断面にサビが生じていたことから、亀裂が事故前から存在したとの見方については、今回の推定には関係ないという。

同型の台車には亀裂見つからず

 ただ、事故の2日前に目視による点検を行った際には亀裂は確認されなかったといい、外側からは見えない内部で亀裂が進んでいたなどの可能性も考えられそうだ。亀裂が発生した原因については現在も調査が続いている。

 亀裂が入った台車は、東武によると新日鉄住金製。同タイプや類似した構造の台車は、脱線した車両と同じ10000型車両や日比谷線乗り入れ用の20000型のほか、白地に青ラインの8000型車両の一部にも使われており、総数は2072台車に及ぶ。同社は事故の発生を受け、6月25日までに全数を点検したが、亀裂の発生は確認されなかったという。

 東武では、4年または走行距離が60万㎞を超えない期間ごとに行う「重要部検査」と、8年を超えない期間ごとに行う「全般検査」の際に、台車の亀裂を点検する非破壊検査を行っているが、今回亀裂が確認された部分に関しては検査部位となっていなかった。

■これまでに亀裂発生事例はなし

 同社によると、台車の検査は国交省告示による台車の検査マニュアルや亀裂発生の事例集などに基づいて行っており、これまで特に亀裂の発生事例もなかったことから実施していなかった。事故を受け、同社は亀裂が入ったのと同タイプ、または類似した台車について、10月1日から非破壊検査を実施しているという。

 今回の中間報告で、脱線については台車の亀裂が原因との見方が示されたものの、今のところ亀裂が入った原因そのものについてはまだ判明していない。東武は今後も継続して調査を行うとともに、運輸安全委員会による原因究明の調査にも引き続き協力していくとしている。もし台車に構造的な原因があった場合は東武だけでなく、ほかの鉄道各社に影響が広がる可能性も考えられるだけに、今後のさらなる調査の進展が待たれる。

小佐野 景寿

最終更新:10/18(火) 18:55

東洋経済オンライン

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