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女性向け“部屋に飾りたくなる溶接機”開発のきっかけ

日経トレンディネット 10/18(火) 12:04配信

 「溶接が日常になる。飾りたくなる溶接機」――。こんなフレーズに思わず目が留まった。ネット通販と体験型DIYショップ「DIY FACTORY」を運営する大都(大阪市)が、小型溶接機メーカーと共同開発して2016年9月に発売した「女性向け家庭用溶接機」のチラシのうたい文句だ。女性向けに開発した溶接機は、もちろん日本初である。

【関連画像】製品に付属するセット一式。上段左から手持ち遮光面、練習用鋼材(厚さ3mmの板×6枚)、デニムエプロン(画像提供:大都)

 国内のホームセンター業界は売り上げが頭打ちで、競合激化が進んでいる(※注)。そんななか、新たな顧客層として期待されているのが女性だ。ここ数年、いわゆる“DIY女子”がメディアで注目され、テレビや雑誌、SNS(交流サイト)などを通じてDIYに関心をもつ人が主婦を中心に広がりを見せている。大手ホームセンターやDIYショップが運営する初心者向けのワークショップや実技スクールへの参加も、女性が圧倒的に多いと聞く。DIY関連商品は女性好みの色やデザイン、アイテムが増え、女性が扱いやすいようにサイズも小型軽量を意識したものが当たり前のように売り場に並ぶようになった。

(※注)日本DIY協会の推計グラフを参考

 日曜大工の道具といえば、かつてはお父さんのモノ。だが、今や女性の手や感性になじむ工具を開発するほど、業界は女性に熱い視線を送っている。以前に取材した記事「新市場開拓の救世主!? 『ノコギリ』も女性向けに進化させる“DIY女子”」にその先駆的な例を紹介した。そして今、“部屋に飾れる溶接機”まで登場した、というわけだ。

 近ごろは、農業女子の目線で開発した「白いトラクター」が話題になる時代ではある。それにしても、「女性向けの家庭用溶接機」っていったい何なのか。DIY FACTORY二子玉川店で行われた発売記念イベントに足を運んだ。まずは、開発の背景と狙いから探ってみよう。

DIYの習い事教室をショップでも開始

 東急田園都市線二子玉川駅そばの二子玉川ライズS.C.テラスマーケット内。ネット通販で工具を販売する大都が、体験型DIYショップ「DIY FACTORY」二子玉川店を構える。筆者は約1年前にも同店を訪ね、DIY女子の新トレンドを探る記事を4回にまとめた。このたびの「女性向け家庭用溶接機発売」は、そのときの第1回記事「ド素人でもメタルDIYに挑戦、火花を散らす『溶接女子』がブームの兆し?」の“その後”の話である。

 まず、店舗運営に大きな変化があった。前回の取材時に比べて物販スペースが縮小し、一方で作業用スペースがずいぶん広くなっていた。もともとネット通販を主力とする大都が実店舗をオープンしたのは、工具を実際に使えるDIY体験を通じてその良さを知ってもらい、商品の販売拡充につなげるのが狙い。今後は、これまでのような単発の体験ではなく、工具の使い方から木工加工や塗装のノウハウを基礎から習得する、いわば「DIYの習い事教室」を、この9月から二子玉川店と大阪店で開始したところだという。

 「1回限りのワークショップでは“体験止まり”で、自宅での実践に結びつかないんです」というのは、同社広報担当の数田知香さん。店舗でDIYに関する相談が増え、受付に列までできるのは、知識・技術不足の現れだ。以前の記事でも伝えたが、工具メーカーのブラック・アンド・デッカーが2015年、国内の男女各500人に行った「DIY」に関する調査によると、女性のDIY率は関心層58%に対し、実践層は14%と4分の1に過ぎない。その大きな隔たりに、実践までのハードルの高さがうかがえる。

 大都は今年3月、定期的に通って暮らしに役立つDIY術を学ぶDIYスクール「DIY FACTORY STUDIY」をなんばパークス(大阪市浪速区)にオープン。会員数は半年で約300人と当初計画の1.5倍に達し、9割が女性という。その好調な出足に自信を深め、ショップでも「DIYレッスン」の提供を強化した形だ。

 さらに同社は、ホームセンター大手のカインズと2016年9月に業務提携した。約200店舗を展開するカインズの店舗網を活用することで客が商品を手に取る機会を増やし、カインズも製品群をより広げていくという。女性向け溶接機のスパーキーも、カインズのネット通販と一部店舗で販売を開始した。

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最終更新:10/18(火) 12:04

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