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東京五輪のインパクト テロ対策の技術で世界に見せる

NIKKEI STYLE 10/19(水) 7:47配信

 4年に1度の五輪・パラリンピックは、企業にとって新たな技術・システムを開発し披露する舞台でもある。NECは2020年東京大会では協賛企業として同社が世界をリードする顔認証や群衆行動解析など安心安全な大会実現に欠かせない技術を提供する。遠藤信博会長に企業にとっての五輪・パラリンピックの意味や20年大会への期待について聞いた。
 ――企業にとって20年五輪・パラリンピックとはどんな意味がありますか。
 「スポーツのイベントであることを超え、世界中の人々が集まって交流する場として他と比較できない価値を持つ。世界で最も大きなパーティーともいえるのではないか。選手だけでなく、だれもが積み上げてきた努力を互いに見せ合う舞台。それは大会を支えるスポンサー企業にとっても同じだ」
 「企業は社会をより良くするための価値を生み出し続けることで継続できる。その価値を表現する場として世界中の人々が集う五輪はとても重要だと考えている」
 ――1964年東京五輪でNECは日本初の衛星放送の実現に貢献しました。
 「63年11月に米国から初の衛星中継でケネディ大統領の暗殺が伝えられた。リアルタイムの情報が海外から入ってくるというのはすごいインパクトだった。それからわずか1年足らずで、日本から東京五輪の映像が世界に向けて発信された。うちだけではなく、NHKやKDD(現KDDI)、三菱電機などが協力して間に合わせた。それが日本のその後の情報通信技術の発展の礎になった。私は当時小学5年生だったが、それに刺激を受けて大学で電磁波を学び、NECに入社することにもつながった」
 ――NECは20年大会に「ゴールドパートナー」として協賛しています。NECが提供する生体認証の先端技術などは大会をテロの脅威から守るために重要な役割を果たす可能性があります。
 「そうしたパブリックセーフティーの領域は現代の五輪をやり遂げるためには重要な技術となった。顔認証はリオデジャネイロ五輪では、記者会見でのメディアの入室管理に導入されていた。20年には空港での入国管理はもちろん、さまざまな場面で活躍することになるだろう。その後のレガシー(遺産)としても非常に重要なインフラとなる」
 ――群衆の上にドローンを飛ばしてテロリストや不審者をピックアップ、それをネットワークを使って追跡するようなことも可能ですか。
 「技術的なハードルはそんなに高くない。ただ、20年大会でそこまでするかどうかは分からない。さまざまな情報をどこまで提供することが許されるのか。解決しなければいけない課題は別に残っている」
 ――確かに、そんなシステムには監視社会につながるという批判も出てくるでしょう。
 「社会的な合意の形成が重要となる。これから自動運転や介護など生活へのロボットの導入などについても同じような問題がある。人間がする優先順位などの判断をロボットがするということは、結局は倫理観や宗教などの問題につながってくる」
 ――文部科学省などが20年大会などに向けたキックオフイベントとして開催する「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」に遠藤会長もアンバサダー(大使)役として登壇します。
 「20年五輪・パラリンピックというのは、20年以降の日本の社会のあり方を考え、さまざまな議論を始めるための絶好の機会。現在は開催準備や経費の問題ばかりが話題になっているが、これからそうした議論を盛り上げていくべきだと思う」
(聞き手は編集委員 北川和徳)
 えんどう・のぶひろ 1981年(昭56年)東工大院理工学研究科博士課程修了、NEC入社。2006年執行役員兼モバイルネットワーク事業本部長。09年取締役執行役員常務。10年社長。16年4月から現職。62歳。

最終更新:10/19(水) 7:47

NIKKEI STYLE

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