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残業減で格差是正が難しくなる社会では累進課税活用も必要か(藤野英人)

NIKKEI STYLE 10/19(水) 7:47配信

 大手広告会社に昨年入社した女性社員が過労のため自殺した問題を受けて、東京労働局の特別対策班が調査に入ったという報道がありました。若い人が亡くなるのは理由のいかんにかかわらず、残念です。それが長時間労働が原因であるならばなおさらです。

■成果を出すために「時間」は重要な要素

 仕事をするときにはどうしても「時間」という要素が出てきます。1日は誰にでも平等に24時間与えられています。睡眠も必要だし、食事の時間も必要だし、物理的に24時間以上仕事をすることはできません。
 このコラムで何度か「投資の結果=考え方×熱意×能力×時間×資金×回数×運×愛」という、私が考える投資の方程式を紹介させていただきましたが、成果を出すためには時間は重要な要素であるのは間違いありません。今回も明治大学で16年間教壇に立つファンドマネジャーとして、若者の教育や働き方について私見を述べたいと思います。
 まず、残業を減らすために以下のような法律をつくったと仮定します。1日の労働時間は8時間プラス残業2時間までで、それ以上会社が残業を課した場合は1時間あたり正規時給の3倍の残業代を払うという内容です。
 そうなれば、どんなにブラックな会社でも残業させればさせるほどコストがかかるので必ず残業時間を抑制していくでしょう。その場合、逆に長時間働きたいと思う人も会社が制止するので残業はできなくなります。
 仕事で結果を出すのに時間で差がつかなくなれば、投資の方程式から導けるように、その人の考え方、能力、運などの質の部分が重要になります。そこでは教育環境や学歴が大きな要素となるでしょう。要するに、時間が一定であれば、生産性や付加価値の差のみが結果の差になるということになります。
 人間は平等であるべきだし、命の重みも平等です。しかし、実際に同じ人間は誰一人いません。性別の差はあるし、体力や知力などの差もあります。どんなに優秀な遺伝子であっても、例えばシリアで爆撃に毎日さらされている環境では、まともに勉強はできません。より安全な日本でも、父親が理由なく子供に暴力を振るうような家庭ではどんなに潜在的に優秀な人でもそれを顕在化させるのは難しいでしょう。
 人としての基本的な能力がほぼ一緒であっても、両親に手厚く教育を施されて愛情深く育てられた人と、毎日殴られて罵声を浴びせられた人とでは学力や学歴に差がついてしまうのは当然なわけです。さて、これが本当に平等な社会といえるのでしょうか。
 学歴が芳しくなくても潜在的な能力がある人は、ある意味、社会に出て量でカバーするという戦略があります。要するに、質を量(時間)でカバーすることで、かなり多くのことは挽回可能なわけです。

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最終更新:10/19(水) 7:47

NIKKEI STYLE

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