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フィギュアスケート・東京ブロック大会レポート1 【シニア女子、シニア男子】

東京ウォーカー 10/19(水) 16:55配信

9月23日~25日、ダイドードリンコアイスアリーナ(西東京市、東伏見)にてフィギュアスケート東京選手権大会(東京ブロック)が開催された。全国を6つのブロックに分けて争われるブロック大会は、12月の全日本選手権へと続く一連の選手権大会の幕開けであり、ここから本格的なフィギュアスケートシーズンが始まると言える。

【写真を見る】「切なさを表現したい」その言葉通り、感情のこもった演技を披露する樋口新葉

■ ロンバルディア杯から帰国直後、多忙な中で出場に踏み切った樋口新葉

シニア女子を制したのは樋口新葉。シード選手である彼女は本来、ブロック大会は出場が免除される立場だ。それでも出場に踏み切ったのには、直前のロンバルディア杯で納得の行くフリー演技が出来なかったことも大きかったようだ。

今季のショートプログラムは“Lady Caliph”。難しいテーマを選んだが、試合を重ね、徐々に表現と曲調が合ってきた印象だ。

「お客さんが引き込まれるように、と意識して滑っています。最初は悲しいイメージ、最後は明るく、強く表現することを意識しています」

特に進歩が見られたのがステップの部分。1か月前の夏季フィギュアではスピードに乗ることが出来ず、完成度が低い印象だったが、この日は大幅に良くなっていた。

「そこはしっかり練習してきました。自分でも前よりはスピードが出て良くなっている手応えがあります」

そして迎えたフリースケーティング、樋口選手はまずまず満足の行く演技が出来たようだ。ロンバルディア杯のリベンジを果たせたと言って良いだろう。

「緊張していましたが、ループの失敗以外はうまく出来ました。ひとつ失敗しても、その後しっかり跳ぼうと練習してきました」

シニア昇格初年度となる今季、ここまで3試合をこなし、段々と試合運び、練習の仕方が昨年までのように出来るようになってきたという。そしてもうすぐ迎えるグランプリシリーズについては、「どんな試合なのか想像がつかない。自分に出来ることを思いっ切りジャッジの人達に見せたい」と意気込みを語る。練習ではノーミスの演技が何度も出来ており、試合に向けての課題が明確になってきた、とのこと。順調な準備が出来ているようだ。

前日の深夜に紀平梨花のトリプルアクセル成功のニュースが飛び込んだこの日、当然、樋口新葉にもトリプルアクセル挑戦についての質問が飛んだが、

「まずは自分の演技に集中したい。今季、特に難しい技に挑戦する予定はありません」

と冷静な姿勢を崩さなかった。今季の一番の目標は世界選手権出場だという。性急な調整がたたり、順調さを欠いた昨シーズンを教訓に、慎重に戦略を立てている印象だ。フリープログラムに2回組み込んでいる3ルッツ+3トウループを確実に決めること。そしてエレメンツの質や表現力の改善を進めることで得点を向上させる方針のようだ。

「ブロックを終えて、とりあえずはほっとしました。これからが本番です。しっかり集中していきたい」

樋口新葉のグランプリシリーズ初戦は、11月中旬のフランス大会だ。初挑戦のシニアの舞台でどこまで通用するのか、世界にその実力を見せつけてほしいものだ。

■ 調整の遅れが目立つ中、復調を図る永井優香

夏場から、永井優香の調整が遅れているとの話は聞いていた。昨シーズンにスケート・カナダで表彰台に乗った活躍もあり、今季はグランプリシリーズ2試合への派遣が決まっている。飛躍のシーズンになるはずが、思わぬ壁にぶつかってしまったようだ。

永井優香といえば、高くて幅のある、本格派のルッツジャンプが持ち味の選手だ。ところが現在の彼女は、トリプルルッツを構成に入れることすら出来ていない。今回のショートプログラムではコンビネーションジャンプを3サルコウ+3トウループにして臨んだが、それも成功させることは出来なかった。

「久し振りの試合だったので、どんな結果でもいいから楽しんで滑ろうと自分に言い聞かせて滑りました。練習からあまり出来ていなかったので、凄く不安でした」

何が問題なのか、どこをどうすれば良くなるのか、復活への道筋すらも「模索中」と話す。演技後、関コーチからは「久し振りの割にはまあまあだな」と言われたそうだが、永井選手としては「自分の中では何とも言えない」と、もやもやした思いが残ったようだ。昨シーズン、あれほど素晴らしい演技をしていた選手だ。不振にあえぐ現状をそのまま受け入れるということは、大変に難しいのだ。

迎えたフリースケーティングも、本来の演技には程遠いものだった。ループとサルコウ、合計2つしかトリプルジャンプを決めることが出来なかった。

「最初は落ち着いてひとつひとつ跳ぼう、と思っていたが、途中から焦りに変わってしまって、それが良くなかったと思います」

夏のローカル大会も調整不足から棄権した永井選手、人前で滑るのは久し振りだった。「楽しんで滑ってね」と多くの人に声をかけてもらい、それが嬉しかったという。久々に実戦を経験したことが、状況の好転につながることを期待したい。

そして最後に、本音めいたことをこう吐露した。

「正直なことを言うと、最近の練習も含めて、自分では受け入れられないこともあるんです。でもそれを言っていてもしょうがないので、前向きに、ひとつずつ出来ることからやっていきたい」

長いキャリアの中では、こういったスランプの時期は避けては通れないものだろう。彼女の言葉通り、前向きに少しずつ改善をしていってほしいものだ。10月末にはグランプリシリーズ初戦、スケート・カナダを迎える。

「1か月という時間を大切にしたい。まだ1か月ある。考え方次第です」

■ シニアの選手権大会では初優勝。大学生になってから大きく進歩した佐上凌

シニア男子では佐上凌が優勝した。シニアの選手権大会では優勝は初めてだ。昨年までそれほどの実績を残していた選手ではないのだが、この1年で大きく進歩した。大学に入ってからこれだけ進歩するのは珍しい。何かきっかけがあったのだろうか?

「高校までは明治神宮外苑クラブに所属していましたが、その頃は追い込んで練習できていませんでした。自分に甘かったんだと思います」

これではいけない、との思いから、あえて厳しい環境を求め、明治大学に入学したのだという。同時期に東伏見のクラブに移籍し、中田誠コーチに師事するようになった。

「インカレで優勝したい、明治大学のために貢献したい、という目的をもって入学しましたが、昨年はインカレに出場できず悔しい思いをしました」

その悔しさをバネに、このオフは休みを取らずに毎日練習してきたという。2月には新プログラムを完成させ、早くも3月から曲を通して練習してきた。その努力がこの東京ブロックで実を結んだのだ。今季の目標は、全日本選手権でフリーを滑ることだという。

「昨年は全日本ではフリーに進めず、そのためにインカレにも出られなかったんです」

3ルッツ+3トウループが安定している今の彼ならば、全日本のショートを通過することは十分に可能なはずだ。今年こそは全日本でフリーに進出し、インカレでも活躍する佐上選手の姿が見られることだろう。

※「ジュニア女子、ジュニア男子」編に続く 【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image Works)】

最終更新:10/19(水) 17:01

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