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これからの人材育成業界に大切なのはマーケティング的発想 リーダー自らも新たなサービス・商品を生み出す「事業家」であるべき/眞崎大輔さん(トーマツ イノベーション株式会社 代表取締役社長)(後編)<HR業界TOPインタビュー>

日本の人事部 10/19(水) 7:30配信

多くの企業が「人材育成」の重要性を認識しています。しかし、中小企業の場合、予算的な制約、あるいは人材育成のノウハウそのものがないなどの理由で、外部研修の導入などに踏み出せずにいるケースも少なくありません。そんな中小企業に、一定の会費を払えばいくらでも研修やセミナーを受講できる「定額制」のプランを提案し、持続的な人材育成の新たな可能性を広げている企業があります。すでに約9500社の中堅・中小・ベンチャー企業と契約し、これまでに180万人以上のビジネスパーソンが受講している「Biz CAMPUS」を運営する、トーマツ イノベーション株式会社です。人材育成業界でそれまで例のなかった「定額制」サービスを立ち上げ、成功に導いたのは、現在同社の代表取締役社長を務める眞崎大輔さん。いかにしてこの画期的な事業を思い付き、業界ナンバーワンのサービスに育てることができたのか。眞崎さんのバックグラウンド、同社の創業の経緯、経営者としての信条、今後目指す方向性などについてお聞きしました。

(前編より続く)

社長として最初のメッセージは「商品力と個人力が両立した会社をつくる」

―― トーマツ イノベーション設立から8年後に代表取締役社長に就任されています。それまではどのような立場でいらっしゃったのでしょうか。

「Biz CAMPUS」の原型となる定額制の研修サービスを発案し開発を始めたのが2004年8月。拡販活動がある程度軌道に乗ってきて、正式に新会社トーマツ イノベーションとしてスタートしたのが2006年2月です。

拡販活動で気を使ったのは、「定額制だから安い」ということばかりを強調しすぎると、研修商品としての価値を感じてもらえなくなること。さまざまな研修メニューの中から会員が自由に選ぶことができ、その選び方によって、どのようにでも使える。その辺りをきちんと理解してもらえるようになるまでに、少し時間がかかりましたね。もともとコンサルティング会社ではあっても営業会社ではないので、若手のコンサルタントにパッケージ商品を提案してもらうためのマニュアルを用意したり、意識付けをしたり、といったことにも苦心しました。私自身も「Biz CAMPUS」の立ち上げ時には自分でテレアポを行うなど、前線で企業のニーズを把握することには力を入れました。

ただ、時間が経つにつれ、せっかくの充実した研修メニューをうまく利用できない顧客が増えていきました。「これはまずいんじゃないか」と考え、それぞれの顧客の課題をコンサルタントが把握して、受けるべきセミナーを提案し背中を押す、しっかりフォローする体制を同時につくっていくことにしました。いたずらに会員を増やすのではなく、長くおつきあいできる顧客を育てていこうという転換です。

また、価値の中核であるセミナーコンテンツの全面的な見直し、刷新を行うことで「Biz CAMPUS」のモデルチェンジを行い、改革に手応えをつかみました。そして、事業の生みの親が総指揮を執るという形になり、2014年から社長を拝命しています。

―― 経営者としてどのようなビジョンを打ち出していらっしゃるのでしょうか。

私が社長に就任して最初に発したメッセージの一つが、「商品力と個人力が両立した会社をつくろう」というものでした。商品力とは文字通り会社が提供する商品、サービスの力。事業力ですね。もう一つの個人力とはそれを提案するコンサルタント個々の力です。顧客はそれぞれの課題を解決する商品が欲しいので、まず商品からおつきあいが始まります。そこにコンサルタントがさらなる価値を付加すると、いっそう深く、長くつきあえる。ただ、こうした商品力と個人力はトレードオフになりがちなものです。商品力と個人力がビジネスの両輪であることを、会社にしっかり根づかせていこうとしています。

具体的な商品力強化としては、「人材育成のワンストップサービス」を確立することを目標に人材育成サービスのラインアップを増やしています。その中核になっているのは、当社ならではの公開型定額制ビジネス研修の「Biz CAMPUS」。年間22万人以上の方が受講し、累計で180万人を超える実績があります。開催するセミナーは約150講座、回数は年間4000回以上にのぼります。今、この「Biz CAMPUS」を全面的にさらに進化させています。もちろん、研修にはカスタマイズ型もあります。動画配信型の研修サービスも拡充していますし、さらにはモバイルを利用した研修、ビジネス基礎力を可視化するテストサービスなど複数の新サービスを一気に立ち上げ、「どの層に、何を、どう教育するか」というそれぞれの目的に応じて、あらゆる組み合わせが可能になる体制を整えています。

ただ、顧客が自分たちに必要な研修をしっかり選んで受講できるかというと、必ずしもそうではありません。答えを持っていない、あるいは課題そのものがよくつかめていない企業も少なくないのです。そのため、個人のコンサルティング力が重要になります。「うちには何でもありますよ、どうぞ選んでください」というだけでなく、課題を聞き出し、何が求められているのかを分析し、最適な提案をし実行していくことが不可欠です。

――  そうすると、御社での人材育成もとても重要になるかと思いますが、具体的にはどのような人材育成を行っていらっしゃるのでしょうか。

私には「人は刺激の産物」という持論があります。どのような刺激を受けてきたかでそれぞれの持ち味や今後の成長余地が決まってくる。つまり、人材育成とは「刺激の与え方」だということです。もっとも良質な刺激とは、本来はその会社の事業そのものであるべきでしょう。良い事業があれば、良い人材が自然に育ちます。ただ、それだけだと社内的な知識に偏りがち、ということは否めません。マンネリ化してガラパゴス化していく可能性もある。それを防ぐには意識的に「社外の知識」を入れていく必要があります。私の感覚では、社外の知識は全体の2割くらいでいいと思います。ただし、相当意識しないと入らないし、特に中小企業はそのための方法を持っていないケースがほとんどでしょう。

当社では、事業の中で人材を抜擢して「事業そのものを育てるのは君たちだよ」という意識付けを積極的に行っています。同時に社外の知識に関しては、一種の「詰め込み教育」で身に付けてもらっています。コンサルタントは、専門知識を学び続けることが非常に重要です。自社のサービスでもあるモバイル研修のシステムを利用して、専門知識や知っておくべき事例を整理したレポートをコンサルタントに毎週配信しています。もちろん、送りっ放しではなく、学んだかどうかをテスト形式でチェックするようにし、その結果を社内で公表もしています。事業そのものの中で育てるのと同時に、必要な知識を研修で学ばせる。人材育成の両面をバランスよく、ということは意識していますね。

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最終更新:10/19(水) 7:30

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