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日本人が意外と知らない「自然保護」の歴史

Wedge 2016/10/19(水) 8:10配信

 ゴールドラッシュという言葉を聞いたことはありますでしょうか? 1848年にカリフォルニアの河川で砂金が発見されたことを皮切りに、各国から金鉱脈目当ての開拓者が押し寄せました。

 カリフォルニアでは1850年に人口が約9万人まで膨れ上がりアメリカ合衆国の州に昇格しました。1860年までの10年間という歳月で4倍の約38万人となるのです。

 金鉱を見つけて財を成した人はどれだけいるのでしょうか? 調べてみると極少数の人々は莫大な富を得たようですが、殆どの人がそのうまみにありつけなかったようです。

 1850年にはジョン万次郎がサンフランシスコに訪れ金を採掘する職についていたようです。また金を掘っているとズボンがすぐ破けて困っている人をみたリーバイ・ストラウスがジーンズを発明したのもこの頃のようです。

 この時代フロンティアに集まった人々が「ゴールド」と呼ばれる魅惑に横目も触れず直進するとどのような事が起こると思いますか? きっと皆さん想像がつくと思うのですが、民族浄化や奴隷問題そして自然破壊といった問題が浮上します。

 西部開拓時代と呼ばれる時代区分がありますが、多くのアメリカ先住民たちがこの時代に殺害されました。民族浄化です。開拓者にとって先住民は邪魔な存在だったのでしょう。私はアメリカ先住民の生き方や生活の仕方を知れば知るほど思うのですが、彼らの存在そのものが自然だったと感じるのです。彼らは決して自然と闘わない。自然と肩を並べるようにして生活を営んでいたんですね。

 新参者が自分の大事な土地に入り込んで、尊んでいた自然を破壊していく。動物を殺し、植物を殺し仕舞いには自分自身も殺される。こういう時代が日本でいうところの幕末の時代に突入するあたりでしょうか、遠いアメリカの地で起きていたんです。

ジョン・ミューアというナチュラリスト

 前置きが長くなりましたが、このゴールドラッシュの最盛期、1849年に一人の少年がスコットランドのダンバーからアメリカの地へやってきます。「わずかな金額で土地が手に入り、地主になれる」という夢の話を聞いた父に連れられてやってきた彼の名はジョン・ミューアといいます。

 ジョン・ミューアは小さいころから自然の中で遊ぶことが好きだったようです。鳥や魚の活動に胸をときめかせ、海や空に至るまでの未知なる世界に興味を抱いていたという事ですから、このアメリカ行きというものが彼にとってみてどのようなものだったのか? その頃ウィルダネスと呼ばれる自然の宝庫だったアメリカの地へ旅立つ感動は強いものだったに違いありません。

 ジョン・ミューアという人は現在では自然保護の父と呼ばれるアメリカでは著名なナチュラリストです。カリフォルニアには2つの世界遺産があり、1つはヨセミテ国立公園、もう1つはレッドウッド国立・州立公園ですが、この国立公園という現代に通じる理念を作り上げたのがジョン・ミューアその人なのです。

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最終更新:2016/10/19(水) 8:10

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