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社長がすべてを取り仕切る会社が危ない理由

@DIME 10/19(水) 7:32配信

 社員数300人以下の中小企業を取材していると、じつは、社内の様々なことを仕切らないと気がすまないという社長が多いことがわかる。本来は、役員や管理職がすべきことにまで意見を言ったりして、権限を奪い、仕切ろうとする。しかも、そのことに対して、意見を言わせようともしない。とにかく、自分だけで社内が動いているものだと信じ込んでいる。今回は、こういう社長がいる会社がリスクを抱えている理由を私の取材で得た情報を元に考えたい。

■権限を委譲しようとしない

 社長があらゆることを仕切ろうとするのは、そのようにせざるを得ない理由があるからだ。人事でいえば、社員の採用、配属、育成、人事評価に始まり、人事異動、昇進・昇格、さらに退職まで口をはさむ。経理では、給与計算や交通費、経費の削減などにも口を出す。営業には、部全体の指示・命令に始まり、それぞれの部員の営業活動に対する指示も行なう。時には得意先の会社にまで同伴し、様々な会議に参加して、仕切ろうとする。

 大企業を見る限り、このような経営者はほとんどいない。だが、社員数300人以下の中小企業になると、ちらほら見かける。私のこれまでの取材経験を振り返ると、4人に1人の割合で現われる。このタイプの社長は、他の役員や管理職に大幅に権限を委譲するという発想や意欲が欠けている。むしろ、役員や管理職を信用していないようにすら見える。少なくとも役員や管理職は萎縮し、自分の判断で仕事を進めようとしない。こうなると、社長が常に前面に出ざるを得ない状況になってしまうのだ。

■誰もが意見を言えない

 社長が様々な場面に出て、案件を仕切ることができるのは、それに対して強く異論を唱える者がいないからだ。例えば、他の役員や管理職、あるいは労働組合などがそうだ。非管理職も含め、ほとんどの人が社長に直接、「こんなふうに仕切られるのは困ります!」と言おうとしないのだ。つまり、社長のワンマン体制になっていて、その判断や意思決定、さらに言動などにチェック機能が十分働いていないのだ。

 これで経営がうまくいく場合もある。だが、企業社会を広く見ていると、業績をダウンさせ、リストラなどをせざるを得なくなるケースのほうが多い。廃業や倒産に至る場合もある。そもそも会社は社員数が300人以下であろうとも、1人では企業経営ができないようになっている。そのことの意味を、このタイプの社長は本当の意味で心得ていない可能性が高い。

■「PDCA」が回らない

 誰もが社長に意見すら言えないような会社は「PDCA」サイクルがきちんと回っていない場合が多い。PDCAは「計画(plan)→実行(do)→評価(check)→改善(act)」のことだが、特に「評価(check)」のところで壁にぶつかる。社長が自分にとって不都合な「評価」をさせないのだ。例えば、役員や管理職が「こういう問題が生じた」と言おうとすると、その意見を否定したり、潰したりする。役員や管理職の人事評価を下げたり、降格したり、辞めるように言う。

「常に自分は正しい。間違っているのは部下たち」という考えの社長の下では、PDCAサイクルはまず回らず、同じ誤りを繰り返す。その都度、社長は役員や管理職を責める。ところが、自分の非を認めようとはしない。このような会社は業績が伸び悩み、行き詰まることは明らかだ。

■社員を愛していない

 この手の社長は、自分を愛することには熱心だが、社員を愛することができない。自分を愛するからこそ、役員や管理職に権限を委譲しないのだ。一時的に委譲したとしても、何かの問題が起きると、その権限をまた、自分が掌握しようとする。権限を奪われた役員や管理職がどのような気持ちになるかを想像できないのだ。部下のことを愛しているのならば、こらえるべきである。そうしないと役員や管理職はもちろん、その下にいる非管理職も育たない。そして30代半ばまでに社員が辞めていく傾向がある。ある意味、当然の結末だといえる。

「社員数300人以下の中小企業は、社長の力次第」とは、経営コンサルタントなどが取材時に話すことである。たしかに大企業より経営者の力で業績などが左右する傾向があることは間違いないだろう。しかし、そのことは「経営者の力だけで、業績が上がる」ことを意味しない。経営者の力だけでは、現在の業績を維持することすら難しいはずだ。すべてを仕切ろうとする社長のいる会社にはいくべきではないし、長く働くべきでもない。たった一度の貴重な人生なのに、取り返しのつかない損をすることになる。

文/吉田典史

@DIME編集部

最終更新:10/19(水) 7:32

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