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セブンイレブン驚異の高収益は、ライバルが戦意喪失する「独自ストーリー」にあり!

NIKKEI STYLE 10/19(水) 12:10配信

楠木建著「ストーリーとしての競争戦略」を読む

 本書は2010年の発売以来、多くの実務家の心を魅了し続けるロングセラーです。上場企業の社長室や経営企画室の書棚にはハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授のベストセラー「イノベーションのジレンマ」と並んで必ず置いてあるとまで言われています。

 企業の最終ゴールが長期間、持続的に利益を手に入れることだとすると、利益がどこから生まれるのかを理解することは経営者にとって不可欠です。著者は巧みに比喩を使って利益源泉を整理し、競争優位を長く維持するためのポイントを教えてくれます。

 事例として取り上げるのは誰もが知っている企業ですが、上辺だけの紹介でなく各企業がなぜ長期に利益を獲得し続けられるのかを詳細に記述し解き明かしてくれます。著者のずば抜けた文章力のおかげで読んでいると次の展開にワクワクし、なるほどと膝を打つところが随所にあります。

 競争優位の基盤が放っておくとすぐに揺らいでしまうことを、著者は日本の昔話「三枚のお札」を使って表現します。山姥(やまんば)に出会ってしまった寺の小僧が、和尚からもらった3枚の札を使って命からがら逃げ、最後に和尚に山姥を退治してもらう話です。小僧がいくら札を使って行く手を阻んでも、山姥が次々に障害をはねのけ小僧を追いつめるところがポイントです。

 ビジネスの場合、山姥が障害を乗り越え小僧に迫ってくるように、もうけの臭いがするところにライバルが登場し利益基盤を次々に壊していく。ライバルのそんな追撃に対し最後のとりでとなる戦略の打ち手はどんなものなのか。著者は順を追って説明していきます。

 まず1枚目の札にあたる利益源泉の第1要素は業界の競争構造です。業界には構造的に見て、もうかりやすい業界ともうかりにくい業界があるというもので、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授の5つの圧力モデルが有名です。

■ケーススタディ セブンイレブンの高収益を支える戦略

 戦略は建築物に似ています。有名な建築物の多くは一人の独創的な建築家によって構想されたものです。そこでは立地条件や経済面といった様々な制約の中で機能性、安全性、美観がバランスされています。戦略も同様です。戦略は経営者の頭の中で構想され、実行されます。またマーケティング、会計、財務といった機能を総合した個々の事業に対する特殊解でもあります。

 著者の言うように、戦略の本質は「シンセシス(総合)」にありますから、戦略は個々の要素を別個に吟味しようとする分析とは相いれないものです。ですから戦略は「アクションリスト」でもありませんし「強み弱み分析(SWOT)」のような分析道具の「テンプレート」でつくるものでもありません。また戦略は事業が置かれた環境の中で経営者が創造する特殊解ですから「法則」や「ベストプラクティス」、「シミュレーション」や「ゲーム理論」といったものではありません。

 例えばセブン―イレブン・ジャパンは20年以上高収益を実現しています。他方で同じセブン&アイ・ホールディングスの総合スーパーのイトーヨーカ堂や百貨店のそごう・西武は低収益に苦しんでいます。そもそもコンビニエンスストアはもうかるのだ、という説明は説得力がそれほどありません。

 確かにファミリーマートやローソンといった大手コンビニも収益を上げています。しかし、セブンイレブンの利益は他を圧倒しています。しかも大手コンビニ間の競争は激化を続けていて、街を少し歩けばすぐにライバルチェーンの店を見つけることができますし、最近ではチェーン内競合も厳しくなり、同じ系列チェーンの店が同じエリア内に数店舗あるといった状況が珍しくなくなっています。こうした状況にあってもセブンイレブンは高収益を実現しています。コンビニだからといった理由だけで同チェーンの高収益性を説明できないことがおわかりになるでしょう。

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最終更新:10/19(水) 12:10

NIKKEI STYLE

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