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スペインの知将が語るイラク戦。「日本が苦戦した理由を3つ教えよう」

webスポルティーバ 10/19(水) 14:40配信

「イラク戦の日本のマイナス点は3つある。ラインを破るようなパスが乏しかったこと。守備陣が空中戦に苦しんでいたこと。そして、サイドで幅を作るような攻撃ができなかったことだ」

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 ミケル・エチャリ(70歳)は端的に指摘した。単純に、詳細に伝える。その点でエチャリの洞察力は、ジョゼップ・グアルディオラにも一目置かれている。その昔、グアルディオラが会長選で「バルサのGMに」と担ぎ上げられたとき、戦略スカウト担当として指名されたのが、エチャリだった。

 リーガエスパニョーラの名門レアル・ソシエダで様々な役職を経て、現在は世界中で指導者のための講習会を開きつつ、バスク代表監督としても活動している。昨年末、カンプ・ノウではカタルーニャ代表を相手に采配を振るい、先発の6人がバルサの選手で占めるカタルーニャ代表の攻撃をシャットアウト。アリツ・アドゥリスの1点で0-1と勝利した。慧眼(けいがん)のプレス理論は、その後にバルサと対戦する他のチームが用いるほどだった。

「日本代表の選手たちのテクニックとスピードを考えれば、もっとボールを早く前に運び、相手がリトリート(後退)する前に攻めるべきだろう」

 エチャリは鋭く意見した。

「イラクは基本的にラインを下げ、中盤に人を集め、2トップのカウンター(サイドからも1人が参加)という戦い方を選択している。一方の日本はボールを失った瞬間、強度の高いプレッシャーをかけ、ショートカウンターを目論んでいた。しかしうまくはまらず、逆に何度か、カウンターを浴びる形になっている。もっとレベルの高い相手だったら、失点を喫していたかもしれない」

 エチャリは序盤の攻防を、プレッシングを軸に説明する。

「日本は、”全速力でのプレッシャーでボールを奪い取る”という意気込みだったのだろう。しかし、少々軽率だった。なぜなら全力でボールを奪いに向かうと、このレベルではわずかなフェイントと方向転換で、簡単にかわされてしまう。ボールを奪うことを目的にしつつも、そのためには相手がボールを失うように仕向けるべきだった。ボールを奪い取るスペースを限定していくべきだろう。

 果敢なプレッシングは、必ずしも適切ではない。例えば柏木陽介は、21番の選手(サード・アブドゥルアミール)に引っ張られすぎ、ポジション的優位性を崩していた。柏木は左足のキックに優れ、運動量が多いのが特長だろう。しかしその動きは規則的でなく、守備では綻びを作ってしまっており、さらに言えば、プレーメイキングも効果的ではなかった。

 秀逸だったのは長谷部誠だろう。CBの前にフタをしながら、いい間隔で中盤全体をサポートしていた。序盤、長谷部が気を利かせなかったら、日本はもっと厳しい攻撃を受けていただろう」

 エチャリは続けて、前半25分の得点シーンまで、ラインを破るパスがなく、サイドが淀み、攻撃が停滞していたことに苦言を呈している。

「攻撃が滞った理由としては、バックラインと中盤でのボール回しが遅すぎた。ボールを失うことを恐れるのではなく、ラインを破るようなパスを打ち込まないと、有効な攻撃は生まれない。結局、GK、CB、SBが長いボールを放り込むだけ。本田圭佑、原口元気のサイドを使えなかった。攻撃が中央に偏ってしまい、幅が作れないことで、立ち往生する時間が続いた」

 前半25分の得点は、原口が帰陣して中央でボールを奪い、それを清武弘嗣が持ち込み、右サイドの本田にパス。さらに本田の外を回り込んだ清武がパスを受け、ニアポストに入った原口のヒールで押し込んだ。

「一連の動きで目を見張ったのが、岡崎慎司だった。清武から本田へパスが出る直前、CBを2人も引き連れ、逆サイドへ流れている。岡崎はとても頭のいい選手。後半の立ち上がりにも、清武のパスを右前のスペースに走って呼び込んでいるが、そのタイミングは喝采に値する」

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最終更新:10/19(水) 16:17

webスポルティーバ

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