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スコセッシ監督『沈黙ーサイレンスー』記者会見レポ 窪塚洋介と浅野忠信がキャスティングされた理由は?

リアルサウンド 10/19(水) 20:15配信

 本日10月19日、TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて『沈黙ーサイレンスー』の記者会見が行われ、来日中のマーティン・スコセッシ監督、キチジロー役の窪塚洋介、通詞役の浅野忠信が登壇した。

 本作は、遠藤周作の歴史小説『沈黙』を、『タクシードライバー』『ディパーテッド』のスコセッシ監督が映画化したもの。17世紀、江戸初期の長崎を舞台に、激しいキリシタン弾圧の中で棄教したとされる師の真実を確かめるため、日本に渡った2人の若きポルトガル人宣教師が、日本人信徒たちの苦悩と惨状を目にしながら、厳しい選択を迫られる模様を描く。

 世界初公開となる約15分間の本編映像の上映後、スコセッシ監督、窪塚、浅野が登壇。スコセッシ監督は今回の作品について、「最初に原作を読んだのは1988年でした。そして、原作を完読したのは、黒澤明監督の『夢』の撮影中、ちょうど日本に滞在している時でした。映画に関しては、原作小説が表現していることをどう伝えるかがテーマでしたが、この作品に20年という歳月を費やしている間に、私は父になり、夫になり、フィルムの修復活動などを行い、小説とともに成長を遂げました。その間に原作小説の権利関係が複雑なことになったりもしたけど、ようやく映画化に漕ぎ着けることができました」と思いを語った。

 また、窪塚と浅野のキャスティングについての質問が飛ぶと、スコセッシ監督は「ほとんどの役は、2009年にロケハンで長崎を訪れた際にオーディションで決めましたが、その時点でキチジロー役と通詞役は決まっていませんでした。その後、映画の製作が止まったり動き出したりを繰り返している間に、窪塚さんがキチジローを演じているビデオを観ました。窪塚さんは力強く、心から正直にキチジローを演じていました。私は彼が役を心から理解していると感じ、2014年に初めて会った際にこの人に決めようと思ったのです」と、キチジロー役の窪塚のキャスティングの経緯を説明。さらに、当初は浅野もキチジロー役でオーディションを受けていたことも明かしながら、「『モンゴル』『アカルイミライ』『殺し屋1』などの彼の過去の出演作を観て、通詞役がいいんじゃないかと思いました。結果的にパーフェクトでした。この2人なら、過酷な撮影の中でもきちんと演じきってくれるという確信がありましたし、私は日本語を話せませんが、言葉にしなくても通じるものを感じました」と述べた。

 さらにスコセッシ監督は、「私の映画のバックグラウンドの基礎となったのは、言語的にアメリカ映画やイギリス映画、イタリアのネオレアリズモなどですが、初めて違う世界に触れたと感じたのが、日本映画で、溝口健二監督の『雨月物語』でした。それ以来、多数の日本映画を観てきたので、日本人俳優たちは僕にとって馴染み深くなっていったんです。イッセー尾形さんも塚本晋也さんもそうです。窪塚さんはオーディションのビデオが本当に素晴らしかったので、過去の出演作を観る必要がありませんでしたが(笑)、日本人キャストの皆さんは、そんな家族をかき集めたような感じですね」と日本映画への思いを語る。

 「本当にドッキリなんじゃないかなと思っていました。撮影を終えて今ここにきて、やっと『現実なのかもな』という感じです。本当に夢のような時間を過ごさせてもらい、最高の経験をさせてもらいました」と挨拶をしたキチジロー役の窪塚は、スコセッシ監督について、「一番覚えているのは、撮影初日のことです。酒場の階段の下の薄汚れたところでの撮影だったのですが、スコセッシ監督が綺麗なスーツを着ていて、「スーツが汚れちゃう!」と思って見ていました(笑)。でも、「関係ないんだな」と。メラメラとした情熱を持ってやられているんだなと思いました」と振り返る。

 通詞役の浅野は、「オーディションの時は緊張していたんですけど、2回3回やっていくうちに、本番の撮影をやっているような、とても楽しい気分になれたんです。監督が俳優の奥にある何かを期待してくれていることを現場で常に感じました」と監督の印象を語る。また、「今回の作品はフィルムで撮ったんです。僕はそれがとても嬉しかったのですが、監督にとっても重要だったのかなって。僕も若い頃はフィルムの中でたくさん演技をさせてもらって、その中で見えない何かを常に監督たちに教えられてきました。今回、フィルムの中で役を演じさせてもらったのも、監督にとってはひとつの大きな演出でもあったのかなって」とフィルムで撮影を行なったことへの思いを語る場面も。

 さらに、現在、信仰に対してどのような考えを持っているかとの質問が寄せられると、スコセッシ監督は「いい質問だけど、あなたの顔が見えないから、まるで天国からの声みたいだ(笑)」とおどけてみせながら、「撮影をしていく中で様々なロケ地を巡ったのですが、これがキリスト教への巡礼のような体験になりました。それでも信ずるということは今でも試練と感じることもあるし、自ら欲して勝ち取らなければいけないものだと思っている。日々いろいろ考えたり書いたり映画を作ったりしながら、人間とは何かを考えていく。その過程が、信ずるとは何かを探るものだと思います」と述べた。

 なお、本作の公開日は2017年1月21日に決定している。

宮川翔

最終更新:10/19(水) 20:15

リアルサウンド