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100億円のF-35が数万円のドローンに負ける日

JBpress 10/19(水) 6:15配信

 爆弾を積載した「自爆ドローン兵器」を使った戦術が、夏頃からIS(イスラム国)によって開始された。武装組織がついにドローン兵器を使い始め、有志連合軍に死傷者が出たことに米軍は大きな衝撃を受けている。

 10月12日、米海兵隊向け軍事誌「Marine Corps Times」は「イスラム国の『空飛ぶIED』により米軍は新たな脅威に直面」と題する記事を掲載した。まずは、その内容を要約して紹介しよう。

■ ISも、アルカイダの一派も

 10月上旬、C-4プラスチック爆弾を積載したイスラム国のドローンは、イラクのエルビルにて、2名のクルド民兵を戦死させ、2名のフランス特殊部隊兵士を負傷させた。これは武装組織が使用する自爆ドローンによる初の犠牲者である。このドローンは撃墜され調査しようとしたところで爆発し、被害を与えた。

 米空軍のスポークスマンが12日に語ったところによれば、米軍は既にイスラム国によるいくつかの自爆等のドローンの戦術活用を確認し、トロイの木馬方式と呼んでいるという。実際、ニューヨークタイムズによれば、少なくとも先月に2回、イスラム国が自爆ドローンを活用した例がある。

 ドローン戦をしている武装勢力は、ISだけではない。アルカイダの一派であるジュンド・アル・アクサは、最近公開した動画で、シリア軍の兵舎に着陸するドローンの様子を映していた。

 また、イランが支援するシーア派武装勢力ヒズボラが公開した動画では、彼らがアレッポのヌスラ戦線に対して、ドローンによる爆弾攻撃を行っている様子が映っていた。これらは武装組織による初のドローン戦のデモンストレーションである。

 米空軍のスポークスマンは、米国率いる有志連合がイラクで敵のドローン戦に対処することに活発に取り組んでいることを強調し、「我々は、わが軍と同盟国およびパートナーの軍隊を脅かす能力を放置することはない」と豪語した。その根拠としては、ドローン撃破のための「先進システム」(詳細は明らかではない)に加えて、ドローンを電波ジャックして撃墜するライフル「ドローンディフェンダー」の配備を挙げている。

 この問題に関してIRIS独立研究所代表のレベッカ・グラント氏は、「米軍でのこれまでの議論、ウォーゲーム、演習から導かれた多数派の結論は、おそらくレーダー監視に基づくレーザー兵器による撃墜だろう」と述べている――。

■ 米国が衝撃を受けた理由

 以上が「Marine Corps Times」の報道である。イスラム国の自爆ドローンはワシントンポストやニューヨークタイムズ等の主要紙でも取り上げられており、米国社会が衝撃を持って受け止めている様子が伝わってくる。

 この背景には、たかだか数万円で簡単に手に入る市販品のドローンで、先進国の兵士が一方的に殺害されかねない(それも西側発の技術による製品で)ことへの衝撃がある。しかも、これまで米兵の多くを殺傷し、もしくは重度の障害者にさせた「IED(路肩仕掛け爆弾)」の記憶が生々しいことも衝撃を倍加させことは間違いない(上記の記事のタイトルは「空飛ぶIED」という表現であった)。

 加えて、上記の空軍スポークスマンの豪語とは裏腹に、米軍の体制が整っていないことも大きい。国防総省の技術研究プロジェクト「NextTec」の責任者であり、ロボット兵器問題の権威であるピーター・シンガーは「我々は自爆ドローン攻撃への準備ができていなければならなかった。しかし、そうではなかった」と指摘している。

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最終更新:10/19(水) 6:15

JBpress

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