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「リファラル採用」は日本でも定着するのか

東洋経済オンライン 10/19(水) 5:00配信

 「リファラル」(referral)という採用方法をご存知ですか?  GoogleやFacebookなど米国のIT系企業から火が付き、日本でも中途採用ではすでに取り入れている企業もあるこの仕組みが、いよいよ新卒採用でも注目され始めています。

 referralは紹介、推薦の意。「リファラル採用」とは、社員やOB・OGの人脈の中から、自分の会社に適性が高いと感じられる人や、今の職場に必要な能力を持っている人を紹介・推薦してもらい、選考をする採用手法です。

 これまで最も一般的な採用の方法は、自社に興味のある学生をできるだけ多く集めて母集団とし、そこから適性検査やエントリーシートなどの応募書類などを用いたスクリーニングによって、面接対象者を選抜するというものです。この方法は、採用可能性のある人を取りこぼさないという利点がある反面、特に人気のある企業ほど、コストも時間もかかるという難点もありました。

■縁故採用やリクルーター制と異なる

 これに対してリファラルは、会社に近い立場の人からの人づてによる応募から選考することで、少ない母集団で自社に合う人を効率的に探すことを狙った手法なのです。

 日本に昔からあるリクルーター制や縁故採用とどう違うのか、と思われる方もいるでしょう。これまでのリクルーター制は、企業が選定した採りたい学生を、企業の命によって派遣された社員がフォローする、いわば「企業主導」の色彩が濃いものでした。

 これに対し、リファラルは、社員が個人的に持っている自らのネットワークの中から発掘して人事に紹介するもので、あくまで「個人主導」であり、さらにフォローを担う意味合いもほとんどありません。また、かつての縁故採用に見られた、企業の幹部や取引先の子弟などが能力の有無にかかわらずショートカットして採用されるコネ入社のイメージとも、まったく違うものです。

企業文化への適応度が高い

 リファラルが最初に注目され始めたのは米国でした。2001年から採用に関する企業調査を行っているCareerXroads社が、大手71社に実施した2015年調査(Source of Hire 2015)では、採用者全体の22%がリファラル採用による人たちです。

 シリコンバレーに拠点を置くIT系企業をはじめ、事業を拡大している企業ほど、リファラル採用を積極的に導入しています。その大きな理由の1つが、会社の成長スピードにふさわしく、入社後すぐに活躍する人、企業風土に合う人を採用したいからです。しかし従来の採用手法では、企業説明会の開催や応募書類・適性検査などの事前選考にある程度時間がかかります。

 そこで、それぞれの職場で自分たちの仕事に必要な能力や志をもっている人を推薦・紹介してもらい、採用選考するという方法が注目されるようになりました。社員なら業務内容や社風もよくわかっています。どんなタイプの人が高いパフォーマンスを挙げられるのかも勘所があります。一定以上の質を担保しながら、適性のある人の採用に結び付けやすいのではないか、と考えられたのです。

 そして実際に導入した企業の間で、「企業文化への適応度が高い」「早期に高い生産性を発揮する」などの評価が高まり、リファラル採用が一気に広がっていきました。また応募者から見ると、外からではわかりにくい企業風土や会社の雰囲気を先輩や知人を介して知ることができ、職場に早くなじみやすく定着率向上が期待できる、というメリットもあったのでしょう。

■日本も外資やメーカーが中途採用で導入

 このリファラル採用、日本でも外資系企業や大手メーカーなどの中途採用でも、導入が始まっています。あるメーカーの研究部門では、中途採用ならこれまでと同業種の職歴、新卒採用なら当該専攻から絞りこんでいました。しかし、リファラルを導入したところ、現場の社員から異業種の推薦があったのです。「今後、必要としている知識と技能を持っているから、推薦する」という熱いメッセージを見て、人事の方もハッとしたとお聞きしています。

 このように、現場の社員であれば、同じ興味を持つ人同士の縦のつながりや横のつながりを持っている可能性も高く、ニッチなスキルに精通している異業界の人や、専攻学部は異なるがそのジャンルに精通している後輩がいるケースも少なくありません。稀少人材の確保にもつながっているのです。

 筆者の所属するセクションでは、こうしたリファラルに注目し、社員紹介による採用活動="リファラル・リクルーティング"をサポートする企業向けサービスを提供しています。

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最終更新:10/31(月) 19:35

東洋経済オンライン

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