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日本株は日銀新政策で「30%上昇」もありえる

東洋経済オンライン 10/19(水) 5:00配信

■次々に崩れる「ブラックスワン待望論」

 昨年来、日本の株式市場では、さまざまな危機到来論が市場を震撼させ、その都度「売り崩しを狙う投機家」が一時的に利益を得てきた。一般の投資家は市場の乱高下に振り回され、すっかり「リスクをとる意欲」を失ってしまった。

 だが、日本株式の投資家心理を「裁定買い残」や「信用取引倍率」で見ると、いずれも歴史的低水準に沈み込んでいる。外国人、個人、機関投資家のほとんどが悲観派、売り方に回り、買い方は日銀と年金などの公的資金のみという状況だ。

 世界を見渡せば、危機に陥れると騒がれた、ギリシャ、中国、ユーロ銀行不安などは難なく通り過ぎ、危機待望論者は失望しているのではないか。残るのは11月8日の米国大統領選挙だが、それも政策継続が見込まれるヒラリー・クリントンとなる公算が濃厚だ。もはや悲観論者は球を打ち尽くし、ポジションを大々的に巻き戻さざるを得ない時期が近づいている。米大統領選挙の結果が出る前に、「見切り発車的な世界的リスクテイクの波」が押し寄せ始めている可能性がある。

 そうした中で、日本銀行は(1)イールドカーブの制御 → 長短金利の管理、(2)オーバーコミットメント → 際限なく目的達成を追求する、(3)追加的手段は潤沢(短期金利・長期金利の水準操作、資産買い入れ、マネタリーベースの増加加速等)、という「3つの柱」からなる新政策を発表した。

日銀批判は的外れ、新政策は「実質バズーカ」だ

 それまでの量中心の緩和から、金利のコントロールへとシフトしたことにより、「量の緩和政策が失敗した証拠」、「窮余の挙句の奇策」、「禁じ手」、という解釈が一般化している。

 しかし日銀によるQE(量的金融緩和)以降の一連の金融緩和政策は、まったく失敗していない。デフレが終わり株価は2倍となり、企業収益も大きく向上している、が十分でない。「2%インフレ」はまだ途上である。これを確かにするための「ダメ押し政策」が今回の一連の政策である。

■「長期金利コントロール」は市場に絶大なインパクト

 この中での日銀の新機軸は、長期金利のコントロールである。FRB(米連邦準備理事会)のQEでも、そこまでは踏み込んでいなかった。先進国において金融自由化、市場金融化が確立した1980年代以降では、初めての中央銀行による市場金利の直接コントロールに日銀が乗り出したのである。確かに極端な、QE以上に伝統・常識からかけ離れた政策ではある。

 しかしそれだけに、市場インパクトも絶大となる可能性は大きい。日本株式を一気に3~4割以上押し上げる威力を持っているかもしれない。となれば、当然リスクオンの円安となる。イールドカーブ・金利コントロール政策 → 株高 → 円安という好循環が起きる可能性がある。

 そもそも金融政策がインフレやデフレを引き起す際に、必ず先立って資産価格が変化している。1990年からの日本の変化は、まず1989年末に金融引き締めが起き、直ちに株式が急落、そして2年後の1992年に不動産価格の急落がおき、CPI(消費者物価)がデフレに陥ったのは、それから9年も後の1998年であった。

 米国でも2008年のリーマンショック以降、前例なき大胆な量的金融緩和政策(中央銀行がバランスシートを4倍に膨らませ、国債や住宅ローン債券を購入した政策)を実施、その直接的効果は資産価格に直ちに現れた。米国株式、不動産住宅価格が顕著に回復し、家計の資産内容が著しく改善した。

 家計純資産はリーマンショック直前の2007年68兆ドルをピークに2009年には55兆ドルへと急減した。だが、資産価格の急回復により2016年1Q末には88兆ドルへと増加し、家計消費増加の推進力となった。資産価格上昇 → 家計消費(特にサービス)増加 → 雇用・生産回復 → インフレという好循環が定着し、今や完全雇用と2%インフレ目標というFRBの政策使命(mandate)がほぼ達成されつつあることは明らかである。

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最終更新:10/19(水) 11:45

東洋経済オンライン

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