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人気化! 日本アニメ「復活」の日が迫っている

東洋経済オンライン 10/19(水) 18:55配信

 フランス・カンヌで10月17日に開催されたテレビ番組のトレードショー「MIPCOM(ミプコム)」。毎年、Country of Honour(主賓国、以下CoH)として特定の国がフィーチャーされる。一昨年はメキシコ、昨年はトルコだったが、今年は日本がCoHとなった。

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 CoHイベントの冒頭では安倍晋三首相からのビデオメッセージも届けられ、総務省を中心とした省庁と放送局、代理店などで構成される「放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ)」を組織して日本の映像カルチャーをグローバルに売り込んだ。

■ソニーの平井一夫社長が基調講演に登壇

 基調講演はソニーの平井一夫CEO兼社長が担当。同イベントは40年近い歴史を持つが、日本人が基調講演を行ったのは初めてのこと。平井社長は近年のテクノロジートレンドを交えつつも、日本人が持つ感性や繊細なディテールにまで心配りする文化的背景を紹介。今回のCoHで掲げた“日本人が持つ独創的な想像力の紹介”というテーマを伝えた。

 ソニーグループ自身も、ゲームを基にした人気映画「レジデント イービル(日本名:バイオハザード)」シリーズ、人気テレビ番組「シャークタンク(日テレ「マネーの虎」の米国現地製作版)」といった日本の企画・アイデアを原点としてカルチャライズした定番コンテンツを持っている。

 2017年1月には、黒澤明監督「七人の侍」と西部劇としてリメイクされた「荒野の七人」の2作が原案の大作映画「マグニフィセント・セブン」が公開予定だ。

とりわけ映像作品の取引――というテーマでとらえると、日本アニメの輸出に話題が集まりがちだが、以前に東洋経済オンラインでリポート(「クールジャパン」、本来は何をするべきか)したように、近年の日本アニメは国内市場の変化から、以前ほどの勢いはないと言われていた。

しかし、状況は変化している

 しかし、映像ビジネス環境の変化とともに、再び日本アニメの輸出が増加しているという。まだ規模は小さいものの、状況の変化はさまざまな方面から聞こえてきた。

 アニメの輸出というと「またクールジャパンの話か」と食傷気味に感じる読者もいるだろう。日本のアニメは1990年代がピークで、今世紀に入ってからは下降線をたどっていた。背景には子ども向けアニメ制作の減少がある。海外バイヤーはアニメを子ども向けの作品として買い付けており、大人向けが多い近年の日本アニメは売れなくなっていたのだ。

 ところが、三菱総研の伊藤洋介氏は「2012年に59億円だったアニメの海外セールスは、2014年には117億円にまで急増した」と話す。特に大幅に増加しているのが北米とアジア向けの輸出である。アジアは中国市場の伸長が大きい。

■関連グッズなど「派生ビジネス」も展開

 その背景にはアニメ作品の放映権販売だけでなく、関連グッズなど「アニメを起点としたさまざまな派生ビジネス」を海外展開する際にも、しっかりと売り込んでいく手法が定着してきていることがあるが、一方で映像ビジネスの環境変化も大きいようだ。

 ソニーの平井社長は「映像の楽しみ方は、週末にカップルで映画館に行ったり、家族でテレビを見たりといった時代から、DVDを楽しむ時代を経由して、今はネットストリーミングの時代になった」と話す。

 「今はテレビ受像機でテレビ番組を見るだけでなく、自分で選んだコンテンツをストリーミングで、しかもマルチデバイスで楽しむのが当たり前。ビジネスモデルが落ち着くのはまだ先だろうが、コンシューマーとコンテンツの接し方という意味では、ストリーミング配信は究極に近い」(平井社長)

 その結果、映像コンテンツの制作環境・事業環境が変わってきている。番組編成枠にとらわれず、視聴者にコンテンツを届けることが可能になってきたためだ。

 MIPCOMには、新世代のアニメクリエーター発掘を狙って開催された「日本アニメ(ーター)見本市」からシン・ゴジラ、新世紀エヴァンゲリオンなどで知られる庵野秀明監督、カドカワの川上量生社長も参加していた。NHK BSプレミアムで来年2月に放映予定の長編アニメ「龍の歯医者」を海外向けにプロモーションするためだ。

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最終更新:10/19(水) 20:15

東洋経済オンライン

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