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北朝鮮で初の世論調査 米シンクタンク実施、生々しい国民の不満が

デイリー新潮 10/19(水) 17:02配信

 最高指導者金正恩の叔父で、国のナンバー2の地位にあっても瑕疵(かし)があれば処刑されてしまうのが北朝鮮。軍のナンバー2は会議中に居眠りした咎で処刑され、副首相の処刑理由も「会議での態度が悪かった」から。

 高官でこの扱い、しかも今年すでに60人以上が公開処刑されたというから国民の恐怖は推して知るべしだ。

 しかし、その北朝鮮で世論調査を敢行したチームがある。Beyond Parallel(“38度線を越えて”の意。BP)。10月に発表されたレポートには、サンプル人数=36人、年齢=28歳~80歳、性別=男性20人・女性16人、職業=労働者・医者・会社社長・主婦・工場労働者・理容師・調理師・サウナ従業員、場所=平壌を含む9つの自治体、といった調査項目が並ぶ。

「北朝鮮国内で行われた最初の世論調査」と胸を張るこのレポート、全5回の第1回だといい、今回は配給制と市場経済、政府への認識に焦点が当てられている。「食料配給制は暮らしに役立っているか」との問いに対し、「Yes」はゼロ。「政府に事業のために貯めていた資金を取られた」「ヤミ市で物を売って刑務所に入れられた」「強制労働させられた」といった生々しい国民の不満も記される。このBPというチーム、CSIS傘下というが――。

「ワシントンDCにある、世界トップクラスの民間シンクタンクが戦略国際問題研究所(CSIS)ですよ」

 とは、在米ジャーナリストの古森義久氏だ。

「やはり著名なピーターソン研究所などのスタッフと今年7月に結成したのがBPです。北朝鮮で調査できた人数は少数ですし、手法も秘密と言っていましたが、貴重な報告ですし、信頼性は極めて高い。原則的に口頭で直接質問し、答えてもらう方法だったそうです」

 世論調査からBPは「国民の大多数は政府に激しい怒りや敵意を抱いている。だが、実力行使での政権打倒を現実的に考えるには到っていない」「国民の大多数が最も強い反発を抱いているのはヤミ市など非合法な経済活動を政府が弾圧すること」などと分析しているが、全体からうかがえるのは北朝鮮国民が金正恩政権に抱く強烈な嫌悪。

 恐怖と嫌悪を乗り越えて、彼らが公然と声を上げる日は来るのだろうか。

「週刊新潮」2016年10月27日号 掲載

新潮社

最終更新:10/19(水) 17:02

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