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「おばあちゃんの知恵袋」宿る 伊藤園の茶殻のリサイクル商品

NIKKEI STYLE 10/20(木) 7:47配信

 緑茶市場の国内シェア首位を走る伊藤園にとっても、東京五輪・パラリンピックは緑茶を通じて日本文化を世界に発信する絶好の機会だ。その一環として、緑茶飲料の製造後に排出される茶殻を再利用する茶殻リサイクル技術をアピールする。茶殻をムダにしない「もったいない」精神。これも世界に伝えるべき、日本人が大切にしている伝統や文化といえる。
 「もともとは『おばあちゃんの知恵袋』から得た発想なんです」。伊藤園の「茶殻リサイクルシステム」を手掛ける開発一部の佐藤崇紀さんは畳の専門商社、北一商店(東京・世田谷)と共同開発した「さらり畳」について、こう明かす。この商品は茶殻の消臭作用を畳そのものに組み込んだのが特徴だ。湿った茶殻をまいてホコリを集め、畳を掃除していた日本の伝統的な生活風景から着想し、畳の芯材に茶殻を配合することを思いついた。2003年に販売を本格的に開始し、ホテルの和室などに採用されている。

■共同開発商品は100種類

 茶殻リサイクルシステムは伊藤園の茶殻を共同開発先の企業に「材料」として採用してもらう仕組みだ。異業種の企業と組み、緑茶に含まれるカテキンなどの効果で抗菌や消臭の機能を付加した商品を開発し、伊藤園は茶殻を材料として供給する。この仕組みから誕生した製品は約100種類。商品の共同開発をめぐって約150社との協力関係を築いた成果だ。
 中堅化学メーカーの日油と組んで開発した茶配合樹脂のほか、紙や建材など素材の段階から開発しているケースも多い。消費者向けにはキッチンペーパー、バス・トイレ用品、折りたたみ椅子、扇子なども商品化している。今後は寝具関連の素材開発にも乗り出す考えだ。
 外壁材大手のニチハとは内装用の壁材を開発。成田空港の施設に採用された。4年後の20年に向けては、茶殻を使った畳や建材などが五輪関連の施設に採用される期待もある。
 茶殻リサイクルの歴史は1980年代半ばにさかのぼる。主力商品の日本茶飲料「お~いお茶」などは急須で入れる茶と同様に茶葉から抽出して製造するため、多くの茶殻が排出される。緑茶やウーロン茶、ジャスミン茶などから出る茶殻は年間5万6500トン(15年度)という膨大な量だ。
 茶殻リサイクルに着手した当時は飲料工場の周囲に農地が多かった。このため茶殻の大部分は肥料や飼料として再利用していた。ただ、2000年代に入ると、農地が減り始め、10年先を見据えた新たなリサイクル方法を考える必要に迫られた。
 佐藤さんは入社以来、茶殻リサイクルの研究に没頭し、カテキンなどの有効成分を活用しつつ、コストもかからない方法を模索してきた。茶殻は腐敗しやすく、乾燥してから保存しようとすると10トン分の乾燥に約500リットルの灯油を使うことになる。それに伴う二酸化炭素の排出量は約1.3トンにも上る。

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最終更新:10/20(木) 7:47

NIKKEI STYLE

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