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あの世代を狙い撃ち! 「売れないモノも売る」ジャパネットたかたの“伝える技術”

NIKKEI STYLE 10/20(木) 7:47配信

 通信販売大手ジャパネットたかた。前社長の高田明氏はテレビ通販王国を一代で築き、お茶の間の人気者ともなりました。朝から晩までテレビカメラの前に立ち続け、「伝える」ということを追究してきた高田氏は「『売れない』のは商品に原因があるのではなく、『伝えたつもり』になっている我々にある」と説きます。

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 「伝え方」には実は2つあります。その商品の隠れた魅力を発掘し、それをどうやって効果的に伝えるかというソフトの部分を前回お話ししました。もう一つは、伝え方そのもの、つまり、どのようにプレゼンテーションをするかという問題があります。米アップルの創業者で2011年に亡くなったスティーブ・ジョブズさんが実践してきたような、「短い言葉で言う」とか、「伝えるには起承転結がある」とか、「声の出し方を適宜変える」とかいうものが「伝えるテクニック」です。これは、「商品をどう提案していくか」という話とは全く別物なのです。

■「伝えること」を極める

 前回お話ししたのは、商品を利用してどういう幸せがあるかという問題に引き付けたプレゼンの極意でした。ボイスレコーダーなら、お母さんたちにレコーダーの使い方を提案することによって「使う人の幅(層)が広がっていく」ということでした。ビデオカメラならお父さんやお母さん、おじいさん、おばあさんが一緒に映ることで、20年後に改めてビデオを見たときに、今はもういない肉親の姿をみて懐かしむ、人間が生まれて死ぬまでの姿を残すという時に使えてこそ価値が出るのであって、画素数といった性能は二の次ということでした。

 前回触れませんでしたが、電子辞書は調べるための辞書と考えれば、学習する人しか使わないのだけれど、子供の教育とか、旅行する人が世界遺産を辞書で調べるといった方法だと、モノ自体が生みだす人生の楽しさというものを創り出すわけだから全く違った発想やニーズが出てくるわけです。調べるため、学習するための辞書だったらその課題を持っている人以外は振り向かないのですが、旅行に特化した説明をしたときには、旅行好きなシニアが「そんなに便利なら旅行先に持っていこう」と思っていただけるし、それで新たな市場創造ができるのです。

 じゃあ同様の感動をどう伝えたらいいかということで、多くの方が悩んでいます。伝えることの必要性や重要性は分かってはいるのだけど、どう伝えればよいのかという方法が分からなくて悩んでいる。この問題は当社がずっと取り組んできた課題でもありました。通信販売の私たちはモノを売るために伝え方を何十回と変えてきたのですよ。どう説明を展開していけばいいのかと。それにはゴールはなく、限りなくいつまでも進化させて、「伝えること」を極めていかなければならない。伝え方がよくなければ僕の場合、買ってもらえなかったのです。だからどうしたら伝わるだろうかと考え続けた29年間でした。

 「売れない」というのはつまり、お客さんに伝わっていないからです。しかし、ここで間違ってはいけないのは、それは商品が売れないのではなく、私たちが原因だということです。売れない時には、「伝えたつもり」になっているのではないか。そういう状況に置かれている人が世の中にはすごく多いのだろうと思います。例えば、夫婦でも親子でも意見が合わないというのは、本人は「言ったつもり」「伝えたつもり」だけど、相手に伝わってないからコミュニケーションがうまくいかない。学校の先生と生徒の関係も、政治家と国民の関係もそう。そうなると先生や政治家の役割が果たせなくなります。

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最終更新:10/20(木) 7:47

NIKKEI STYLE

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北朝鮮からの脱出
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