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「パチンコ依存症の半数は週4回以上入店」データから浮かび上がる課題とは

HARBOR BUSINESS Online 2016/12/15(木) 16:20配信

 カジノ議論が過熱するなか、「反対派」が主張するのは主に「依存症」の問題である。

 そもそも依存症の問題自体にも問題がある。人が何かに依存するのはよくあることであって、代表的なところでいえば、薬物依存やアルコール依存などの法律や生命に直接関わる依存であったり、若者たちのスマホ依存や、買い物依存、ゲーム依存の問題などもあったりする。

 ギャンブル依存の話をするのならば、ギャンブルが好きであるとか、ギャンブル場に足繁く通うこと自体が問題ではなく、ギャンブルによって、社会的な問題を引き起こしたり(某大手企業会長のカジノ問題等)、個人や家族の生活が破たんしたりすることが問題なのである。

 逆説的に言えば、ギャンブル場に毎日通おうが、ギャンブルで何百万円負けようが、それ自体は「依存症」であるとしても、破たんさえしなければ、個人の自由の範疇の話なのである。ポイントは、ギャンブルにのめり込むことによって、何かしらの問題が発生するか否か。よって本稿では、「ギャンブル依存」ではなく、「ギャンブル依存問題」と書く。

 さて、本稿ではギャンブル依存を考えるにあたって、よく引き合いに出されるパチンコ・パチスロへの依存について考える。「パチンコはギャンブルではない」という議論については、本稿の趣旨に添わないのであえて与しない。

◆「パチンコ依存」の相談機関、リカバリーサポート・ネットワーク

 認定NPO法人「リカバリーサポート・ネットワーク」(以下、RSN)という団体がある。主に、パチンコ・パチスロの依存に悩む本人や家族の電話相談を主な活動内容にしている。ほとんどのパチンコ店には、このRSNの電話番号が掲載されている。(主にトイレ等)

 RSNがまとめた「2015年ぱちんこ依存問題電話相談事業報告書」によれば、2015年の1年間の電話相談件数は2967件あった。1日8.1回の回数である。その内訳は、初回相談が2159件(76%)、2度目以上の相談が476件(17%)、間違い、無言、問合せが205件(7%)となっている。有効件数の相談者の内訳は、本人からの相談が1675件(78%)であり、次いで家族・友人からの相談が477件(22%)と9割を占めている。

 大事なポイントとして、電話での相談内容は、パチンコ・パチスロを辞め(させ)る方法が一番多く1409件あり、次いで家族の接し方353件となる。生活の破たんに繋がりかねない「借金の返済」については47件の相談件数であった。男女別では66%が男性、34%が女性。年代別でみると、20代から40代がボリュームゾーンである。

◆相談者は普通の会社員から学生、経営者まで

 相談を受けたRSNとしては、まずは相談者の話をよく聞くことを大事にしている。相談者にとっても、第三者に話すことによって、自身の問題を整理できたり、ギャンブルに熱中している精神状態をニュートラルに戻したり出来るからだ。

 RSNは、その上で深刻と思われる相談者には、適当と思われる他のサポート施設や行政機関を紹介している。主には「精神保健福祉センター」や「保健所」、必要に応じて医療機関や回復施設なども紹介する。

 相談者の背景は様々である。

 一般的なサラリーマンもいれば、主婦もいる。非常勤の人もいれば、学生や経営者もいる。しかしその半数以上は、経済的な生活基盤が不安定もしくは脆弱であり、何かしらの金銭的な問題を抱えている。

 当事者たちのパチンコ店への入場回数(遊技日数)は、有効回答数1355人のうち、週2回以上が1052人となっており、週4回以上に絞っても628回と約半数となる。ちなみに1か月のパチンコへの消費金額は2万円以上20万円未満で83%となっている。

◆もっと早く、もっと真剣に「依存症問題」対策を

 2014年に厚生労働省は、日本においてギャンブル依存の疑いがある人は536万人に及ぶと発表した。

 その多くは「パチンコ」の遊技経験者であると容易に推測される。一方、日本生産性本部が発行するレジャー白書によれば、2014年のパチンコ参加人数(1年に1回以上パチンコをやったことがある人数)は1180万人と発表している。

 単純な話をすれば、1年に1回以上パチンコ店で遊ぶお客の、2人に1人が「依存症」ということになる。

 パチンコ業界を擁護する訳ではないが、仮にこれが数字のマジックのような話であったとしても、国会におけるカジノ反対派の議員の方々が、「536万人依存症」説を安易に取り上げるのはいかがなものかと思う反面、依存問題に悩む人や、その家族が多数存在するのも事実。今は「536万人」の正確性を問うことが正しいことではない。仮にこれが「100万人」であっても、依存問題が深刻な問題であることに変わりはない。

 カジノであろうが、パチンコであろうが、更に言えば、パチンコが娯楽であろうが、ギャンブルであろうが、それを通じて個人や家族の生活の破たんの恐れのある人が確実に存在するということを直視し、その実態に沿う形で、この問題の解決に向けた取り組みをもっと真剣に議論すべきであるし、より多くの対策を講じる必要があるだろう。<文・安達 夕>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:2016/12/15(木) 16:20

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