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日本は、ついに「1人あたり」で韓国に抜かれる

東洋経済オンライン 2016/12/16(金) 5:00配信

日本は「成熟国家」などではない。まだまだ「伸びしろ」にあふれている。
著書『新・観光立国論』で観光行政に、『国宝消滅』で文化財行政に多大な影響を与えてきた「イギリス人アナリスト」にして、創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社社長であるデービッド・アトキンソン氏。
彼が「アナリスト人生30年間の集大成」として、日本経済を蝕む「日本病」の正体を分析し、「処方箋」を明らかにした新刊『新・所得倍増論』が刊行された。そのポイントを解説してもらう。

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■労働人口で計るとさらに悪化する日本のランキング

前回の記事(「『1人あたり』は最低な日本経済の悲しい現実」)では、日本の生産性が先進国で最低であることをご紹介しました。この記事には多くの反響をいただきました。 一番疑問視されたのは、日本は高齢者が多いから、生産性を計るために1人あたりGDPを使うと、日本の生産性が過小評価されるのではないかという指摘でした。すなわち、GDPを人口で割ると、経済にあまり貢献していない高齢者の比率が高いため、生産性の値が低くなるだろうとのことです。これは、一見もっともらしい指摘に聞こえます。

 しかし私は長年アナリストをやっていましたので、その調整はしてあります。高齢者が多いというのは、たしかに日本の1人あたりGDPを押し下げる要因となりますが、日本は高齢化だけではなく、少子化も進んでいます。つまり、子供の人数が少ないのです。あまり経済に貢献しない子供は、少なければ少ないほど、1人あたりGDPを押し上げる要因となります。

「労働人口」で考えると日本の順位はさらに下がる

 また、失業率を考える必要もあります。たとえばイタリアやスペインの失業率は、2桁に乗っています。つまり、実際に仕事をしている労働人口と名目上の労働人口の乖離が日本より大きくなっています。日本は失業率が低いですから、その分、1人あたりGDPを押し上げる要因となります。

 以上を考慮すると、「労働人口で見た日本の生産性は相対的に高くなって、最下位ではないだろう」というのは期待はずれです。実は、日本は全国民に占める仕事に就いている労働人口の比率が相対的に高いため、GDPを労働人口で割った生産性で見ると、逆にランキングが下がる結果となります。

 なおかつ、日本は相対的に働く時間が長いので、1時間あたりで計算すると日本の順位はさらに下がります。

■このままでは、生産性で韓国に抜かれる

 また、「日本の生産性が下がった理由」についての言及も多く見られましたが、実は日本の生産性は「下がった」わけではありません。1990年から現在にかけて、日本の生産性はわずかながら「上がって」います。日本の生産性が先進国最低になったのは、他の国と比べて、極端に「上がり方」が緩やかだったからです。

 実際、1990年から現在まで、アメリカ、ドイツ、イギリスの生産性は40%も上がっていますが、日本は20%しか上がっていません。特に、先進国の生産性は1995年以降爆発的に向上していたにもかかわらず、日本だけはほぼ横ばいで推移してきました。このため、1990年には世界第10位だった生産性が、第27位まで低迷してしまったのです。

 アジアの中でも、日本の優位性が次第に薄れています。2001年には日本の生産性はまだアジアトップでしたが、2002年に第2位、2007年に第3位、2010年に第4位、2015年には第5位まで低下しています。

 実はこのままにしておきますと、数年後には、日本は生産性で韓国にすら抜かれることが予想されます。

 1990年には、日本の購買力調整済みの1人あたりGDPは韓国の2.44倍でしたが、毎年そのギャップが縮まっており、2015年は1.04倍となっています。生産性はやがて収入に収斂していきますので、このままですと、生活水準で韓国の後塵を拝することになってしまいます。

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最終更新:2016/12/16(金) 5:35

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