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パチスロにハマり自殺未遂…経験者が語る「ギャンブル依存症」の恐怖 〈dot.〉

dot. 2016/12/20(火) 11:30配信

 カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備を促す、IR推進法いわゆる「カジノ法案」が12月15日に成立した。今後は「IR実施法案」を審議し、具体的なルールづくりなどを行うことになる。カジノ法案成立ですぐにカジノがつくられることはないが、それでも専門家の中には警鐘を鳴らす人も多い。

 国内の数少ないギャンブル依存症専門外来・大石クリニックの大石雅之院長も、そのひとりだ。ギャンブル依存症を発症するきっかけとして「ギャンブルに触れる機会が多いこと」を挙げ、次のように話す。

「ギャンブルはまず、それ自体を知らなければハマることはない。競馬場が近かったり、パチンコをしている人と触れる機会が多かったり、そういったことが依存症の入り口となります。カジノ法案は、外国人観光客などを誘致するためのものという話もありますが、もしそれがうまくいかなかった場合は、国内の消費者に目を向けるはずです。シンガポールなどの海外でも、自国民が多く通っています。もし日本でもそうなれば、ギャンブルに触れる機会は増え、依存症の“入り口”が増えることになりかねません」

 さらに、治療に関して厳しい現実を明かす。

「実はギャンブル依存症は、すべての人を完全に治すことはできないのです。一定数、病院に通い続けても治すことができない人が出てくる。カジノは一時的に国の収入源になるかもしれませんが、その人がギャンブル依存症になった場合、本来その人から入るはずの税収はなくなり、逆に生活保護を与えなければならなくなる可能性もある。その人が治癒しなければ、一生そういった人を国は抱え続けることになるのです。それが長い目で見て、プラスになるとは思えない」

 一方、実際に依存症経験者はどう考えているのか。かつてギャンブル依存症だったという30代男性に話を聞いた。

 現在、都内に住んでいるその男性は20代半ばの時にギャンブル依存症を患っている。当時、派遣切りで無職になった男性は、何げなく始めたネットカジノで大勝。3万円が70万円になった。働いていたころは月給20万円程度だったが、わずか数時間でその3倍以上を稼ぎ出し、ギャンブルは「簡単にもうかる」と感じた。

 その後行ったパチスロでも勝ち、「これで食べていける」と思った男性は、毎日パチスロに通うようになる。当時は両親とともに実家に暮らしていたが、仕事もせずにパチスロに通う男性は、実家から追い出され、ネットカフェで生活するように。パチスロ店に通い始めた当初は、店を出てからもパチスロ店の騒がしい音が脳裏に流れ続け、毎晩耳鳴りがする中で眠りについた。それでも毎朝9時にパチスロ店の前に並び、夜22時まで打ち続け、月間20万円程度を稼ぎだしたという。

 しかし、パチスロによる不安定な収入は3カ月ほどで底をつく。ネットカフェの代金はもちろん、食費も、家に帰るための電車賃もなくなった男性は、追い詰められて入水自殺を図ってしまう。幸い自殺は未遂に終わり、一命をとりとめた男性は両親のいる実家で再び暮らし始める。しかし、同居はわずか1週間で終了。男性は母親から結婚記念日を聞き出すと、その数字をもとに暗証番号を割り出し、両親の通帳から20万円を下ろして持ち逃げする。当時の心境を「両親と一緒にいるのがいたたまれなかったのと、ギャンブルをやりたいという欲求が、半分半分だった」と振り返る。

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最終更新:2016/12/20(火) 18:22

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