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日本の文化的保守性は欧米にも見直されている --- 神谷 匠蔵

アゴラ 1/11(水) 16:20配信

先日YouTubeで興味深い動画を見た。タイトルは、「Why Japan Refuses immigration and Multiculturalism(https://youtu.be/Z3BYCK-3jPc)」(なぜ日本は移民と多文化主義を拒否しているのか)である。欧米の保守系論客が日本に言及することはそれほど珍しくもないとはいえ決して多いわけではないし、場合によっては保守系だからこそ日本に対して否定的な見解が表明されることもある。特に米国人にとっては真珠湾攻撃と核爆弾投下の関係という問題は一種のトラウマである。

欧米保守派の日本観は変わりつつある

米国人としての愛国心に基づけばHiroshimaは正当な攻撃であったと言わねばならないが、西洋世界でもこれが本当に倫理的に問題のない許された行為であったと今日でも考えているのはおよそ米国人の保守派くらいのもので、政治的に正しいリベラル派は勿論欧州の保守系知識人でさえ、この件に関してはアメリカは非道であったのであり、決して正当化されるべきではないという見方の方が支持されている。

例えばVirtue Ethicsと呼ばれるアリストテレス倫理学に端を発する学派の現代的基礎をつくったことで知られ、またWittgensteinの最初期の解説者としても知られる英国の女性哲学者Anscombe氏などは、1956年の時点で既に米軍の原爆投下を「功利主義」に基づいて倫理的に正当化するのは詭弁であり、これほど非人道的なことはないとOxfordの男性教授たちを前に一人で大論陣を張ったが、今日ではむしろAnscombe氏のvirtue ethicsに基づく見解の方が「功利主義」よりも支持しうるものであるというのは英語圏で哲学を学ぶ学生にとっては常識となっている。というのも、功利主義を批判するのはvirtue ethicsを批判することよりも何倍も簡単なので、功利主義批判をエッセイのトピックに選ぶ人が実に多いからである。

従って「功利主義」を使って原爆投下を正当化するのは知的怠慢以外の何でもないという「空気」は欧州にもあるのだが、それでも例外としてアメリカ人は時にこの件に関して複雑な思いを持つものだ。

ところがそのアメリカ人の若い愛国的保守派と思われるYoutuberの一人が、日本を全く別の視点から絶賛する動画を投稿している。内容はリンク先を開いていただければわかるが、彼の論旨を簡単に要約すれば、『日本は欧米の「多文化主義」というイデオロギーに毒されることなく自己の文化を堅持し、現世代の老人の年金確保という目先の利益の為に移民を大量に受け入れるという愚行に走らず、より長期的視点に立って堅実に(移民というマジックカードを使わずに)経済成長戦略を立てている素晴らしい国である』というところだろう。

単にリベラル派のイデオロギー的言説に留まらず、純粋に経済学的視点からも欧米の知識人はよく日本の閉鎖性を批判し、このままでは「人口減少社会」の到来は免れず、それは日本を経済危機に陥れるだろうという暗い予想ばかりをして何とか日本にも移民政策を実施させようとあの手この手を使ってきていたが、彼らがそんなことを言うようになって10年以上経っても一向に日本の経済は欧米ほど危機的状況に陥らず、むしろ欧米の方が移民によって政治経済的危機に苛まれるという事態に至っている。この状況の中、心ある欧米市民はそろそろ日本の正しさに気づき始め、これまでの方針を180度転換し日本を理想郷のように見るようになってきた。

今まで欧米人は日本を「社会的に少し遅れた、アジアにしてはそこそこ頑張っているが、文化的には頑迷で保守性の強い、女性が抑圧され同性愛への理解も進まない、テクノロジー一辺倒な割には科学的思考も出来ず、21世紀になっても英語もまともに話せず、奇妙な小児愛的ポルノアニメ(Hentai)にも制限をしない、よくわからないが気味の悪い国」程度に思っていた。無論今でも東アジアに関心のない欧米人は大なり小なりこういう偏見を持っている。

だが、そうはいっても最近この屈辱的ステレオタイプは改善しつつある。自国の状況に絶望しつつある今の欧米人の眼には日本は「下らない西側のイデオロギーに惑わされることなく自国の文化と伝統を守り、日常生活における最新技術の浸透度は欧州など比べ物にならないほど進み経済規模も非常に大きく、その一方で東京のような規模でいえば世界最大級の都市でさえ治安がすこぶる良く、安全で衛生的かつ秩序が保たれており、災害が生じてもそれほど大規模な混乱が生じることもなく、レベルの高いアニメ作品やビデオゲームなどの娯楽が充実しており、食品の物価も比較的安く、失業率がとんでもなく低い、出来ることなら一度は住んでみたい国」と映っている。今の日本は、一周回って世界最先端の先進国なのであり、欧米が目指したくても最早たどり着けない理想的状態に近いのである。

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最終更新:1/11(水) 16:20

アゴラ

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