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将棋連盟がスマホ不正疑惑で指した“悪手”を検証する

ダイヤモンド・オンライン 1/11(水) 6:00配信

● 先を読むのが仕事なのに ビジネスが「読めていない」

 将棋のプロ棋士は将棋というゲームにあって先を読むことが得意な人たちだ。

 そんな先読みの巧者たちが集まっているはずの日本将棋連盟は、第三者委員会が「三浦九段はクロである」という裁定を下したら、どうするつもりだったのだろうか。

 おそらく、三浦九段に何らかの処分(1年間出場停止など? )を下して、自らの処置が正しかったと主張することになったのだろうが、ビジネスとしてのプロ将棋は大きなイメージダウンを被っていたはずだ。

 万一そうなっていた場合、三浦九段側は訴訟に訴えて、この問題への注目は長期化しただろうから、プロ将棋にとってのビジネス的ダメージはさらに拡大した可能性が大きい。

 そもそも、「確たる証拠」か「本人の同意」がない限り、日本将棋連盟は「不正は存在しない」という立場を取るしかなかったのだ。「クロ」を確定できた場合のみ、「即刻処理する」。これ以外の選択は、ビジネス的にあり得なかった。

 週刊誌に疑惑を指摘する記事が出たとすれば、三浦九段と一緒に名誉毀損で出版社を訴えるという構えでよかった。対局の公正が疑われ、棋士の人権が侵された時に当事者として立ち上がらない「連盟」などというものに、存在する意味はない。

 にもかかわらず、告発を問題として大っぴらに取り上げ(第一の悪手)、不正が確認できない段階で三浦九段を出場停止とし(第二の悪手)、納得性の乏しい第三者委員会を設置し時間をかけて検討した(第三の悪手)。

 この間、プロ将棋はネガティブな注目を浴び続け、ビジネス的には大きな損失だった。結果がシロであれクロであれ、時間をかけるだけビジネス的にはダメージを負うという先が「読めて」いなかったことが惜しまれる。

 また、仮に「疑惑」が報じられてしまったとしても、疑惑の起こらない状態で対局を行って決着を付けるような特別な演出を追加的なビジネスにつなげることが可能だったのではないだろうか。

 日本将棋連盟は、せっかく将棋というポピュラーでファンの多いゲームと、プロ棋士及びプロの対局というコンテンツを持っているにもかかわらず、これを十分ビジネスにつなげていないことが歯がゆい。

 たとえば、平成27年度の「正味財産増減計算書」を見ると、経常収益の合計は、前述の通り約27億5000万円だが、そのうち、「普及収益」はたったの3億6500万円しかない。将棋は、スポーツや音楽のように、「見せる」と同時に、ファンが参加できるエンタテインメント・ビジネスだ。もっと、将棋ファンから収入を得ることができる「商売」のやり方があるはずだ。

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最終更新:1/11(水) 6:00

ダイヤモンド・オンライン

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