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長崎・五島列島の潜伏キリシタン関連遺産を巡る旅【1】

東京ウォーカー 2/9(木) 13:51配信

 長崎県の五島列島は、長崎港から西へ約100kmの海域に、北から宇久島、小値賀島、中通島、若松島、奈留島、久賀島、福江島の7つの大きな島を中心に約150の島からなっており、リアス式海岸など変化にとんだみごとな景観を有するこの地域は、その多くが西海国立公園に指定されている。長崎県内からは航空機、ジェットフォイル、フェリー、高速船で行くことができる。

【写真を見る】五島列島には、数多くの教会堂が建っている

江戸時代のキリスト教禁教政策により、ここは多くのキリシタンが隠れ住んだ地として知られており、1873年の禁教令廃止後、次々と島内に教会堂が建てられた。信徒の信仰心によって建てられた教会堂は、美しい自然の中に建っているものが多い。そして五島出身で大工棟梁・建築家である鉄川与助が、多くの教会堂の建築に携わった。長きにわたる禁教政策の下で生まれた独自の文化・伝統がある教会や集落は「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産として、世界遺産登録を目指している。島内には数多くの教会堂が存在しているが、その中で世界文化遺産候補の教会と集落を紹介したい。

新上五島町、中通島にある「頭ヶ島(かしらがしま)天主堂」は、1919年に完成した国の重要文化財で、10年もの歳月をかけて作られた全国でも珍しい石造りの教会堂。潜伏キリシタンたちが対岸の島などから砂岩を切り出して作ったもので、設計施工は鉄川与助。外観の重厚さとは異なり、内部は折り上げ天井に椿を思わせる花柄の装飾が美しく「花の御堂」とも呼ばれている。

同じく新上五島町、中通島にある「青砂ヶ浦(あおさがうら)天主堂」も国の重要文化財で、鉄川与助が設計施工の初期の煉瓦造りの教会堂で、信徒が総出で煉瓦などの資材を運び建造された。外国から原書を取り寄せて設計施工し1910年に建立された正統的な様式、デザインが特徴。内部はリブ・ヴォールド天井とステンドグラスを通した光差し込み、とても美しい。教会堂のそばの丘を登れば、美しい景色の中の教会堂を眺めることができる。

若松島から船で約10分の所にある「キリシタン洞窟」は、明治のキリシタン迫害の際、付近の信者が弾圧を逃れるため、隠れ住んだと伝えられ、船でしかたどり着けないところにある。気づかれにくい洞窟の入り口を入ると、中は南北70m、幅5mほどの十字形の広間があり、1967年に高さ4mの十字架と、3.6mのキリスト像が建てられ、島に上陸するとそれらを眺めることができる。

次に五島市、奈留島にある「江上(えがみ)天主堂」も、鉄川与助による設計で1918年に完成した木造教会で、国の重要文化財。クリーム色の板張りの外壁と水色の窓枠が可愛らしい教会で、森林の中に建てられている。信徒がキビナゴ漁などで得た収入などを出し合い建てたもので、建設中は例年になく大漁で信徒らは神の恵みと感謝しあったという。ステンドグラスの色は、黄色が大地、赤が太陽、青が天、緑が草木を表し、黄色と白の花模様がステンドグラスに手書きされている。現在、保存修理工事が行われており、2017年8月末まで敷地内へ立ち入っての見学ができない。教会堂が見える場所に設置された展示パネルでのガイドのみとなっている。

同じく五島市、久賀島にある「旧五輪教会堂」は、現存する木造教会堂では五島列島最古のもので、外観が日本家屋のようなデザインとなっている。1881年に「浜脇教会堂」として建てられたが、1931年の建て替え時に五輪地区に移築された。中はゴシック様式でリブ・ヴォールト天井、シンプルな祭壇がある。日本の初期教会建築のため、窓は横にスライドして開く日本式で、西洋と東洋の建築技術の融合が見られる。

そして五島列島ではなく長崎市にある、国宝・大浦天主堂は、外国人の為の教会として1864年に建設された。翌1865年の献堂式後、約250年間も潜伏していたキリシタンが神父に信仰を告白し、「信徒発見」と呼ばれる世界宗教史上の奇跡とよばれる出来事があった。このことがあった後、禁教令が廃止され各地で次々と教会堂が建てられることとなった。

キリシタン関連でもう一つ、1636年に築造された長崎市内にある「出島」は、まさにキリスト教禁教政策の為のものであり、鎖国時代を経て日本の近代化に大きな役割を果たした場所だ。現在この出島を復元する大プロジェクトが行われており、2000年の日蘭交流400周年記念に建物を復元したのをはじめ、次々と出島内の建物を復元し、2016年現在16棟が復元されている。さらに2017年には出島表門橋が架橋され、鎖国時代のように橋を渡って出島へ入ることができるようになる。畳の上に洋風のダイニングテーブルが設置されていたりする、和と洋が混ざった建物の内部も見学でき、また発掘物も展示されており当時の様子を知ることができる。2050年までに再び海に浮かぶ出島の完成を目指しており、また様々なイベントも開催されている。

また1月21日から公開されている、原作 遠藤周作、監督 マーティン・スコセッシの映画「沈黙-サイレンス-」の舞台である外海地区は、長崎市内から北西に車で約1時間程の位置にある。隠れキリシタンの里であるここにも同じく、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産である、「外海の出津集落:出津教会堂」、「外海の大野集落:大野教会堂」がある。合わせて訪れてみてはいかがだろうか。

現在スカイマークは、3月25日まで神戸空港-長崎空港線を増便し、1日4便運航している。神戸空港から長崎空港までは約70分。ぜひこの機会に長崎へ旅をしてみてはいかがだろう。次回は五島列島の他の楽しみ方を紹介したい。【関西ウォーカー/千束】

最終更新:2/9(木) 18:29

東京ウォーカー

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