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「人生100年時代」への対応の遅れは大問題だ

東洋経済オンライン 2/17(金) 7:00配信

 ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットンとアンドリュー・スコットの『Life Shift 100年時代の人生戦略』は「100年時代」(=長寿化)の生き方や考え方を議論しており、日本経済に対するインプリケーションも多い。

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 「2007年にアメリカやカナダ、イタリア、フランスで生まれた子どもの50%は、少なくとも104歳まで生きる見通しだ。日本の子どもにいたっては、なんと107歳まで生きる確率が50%ある」とのことで、すでに「100年時代」に突入しているという。原著のタイトルは『The 100-Year Life: Living and Working in an Age of Longevity』であり、簡単に言えば「長寿時代の生き方」「長生きリスクとの接し方」を示したものだ。

■人生を「3ステージ」から「マルチステージ」に

 同著によると、「100年時代」では現在多くの人が想定する「教育→仕事→引退」という固定された「3ステージ」の人生設計を「マルチステージ」に変える必要があるという。

 「マルチステージ」の人生では、人々は多くのステージへの移行(仕事から教育への再移行や、就業状態の変化など)を経験するようになり、それに対応した柔軟性などの無形スキルが重要になってくるという。

 なお、国連の推計によると2010~2015年の世界の平均寿命は女性が72.7歳、男性が68.3歳である。5年前と比べて、それぞれ1.7歳、1.6歳延びている。日本の場合は女性が86.5歳、男性が80.0歳で、5年前と比べてそれぞれ0.5歳、0.9歳延びた。「Life Shift」が指摘するように、平均寿命は延び続けている。

人生「3ステージ」の問題点とは

 同著では、架空の3人の人生が例示され、「100年時代」における「3ステージ」の問題点と、「マルチステージ」化に向けた意識改革の必要性を議論している。

 「お金の問題がすべてではない」と強調しているが、著者の1人は経済学者であり、人生における資金計画にも多くのページが割かれている。

 3人の登場人物は世代が異なるものの、典型的な「3ステージ」の人生を望んでおり、「老後の生活資金は最終所得の50%」「長期の投資利益率は年平均3%」「所得の上昇ペースは年平均4%」「65歳で引退希望」などの想定で人生を送ることになる。このような仮定を置くと、平均寿命が人生における資金計画を大きく左右することになる。

■無形資産を含めた4つの資産が必要に

 1945年生まれのジャックの引退後の人生は約8年(平均余命から逆算)。勤労期間に毎年の所得の4.3%を貯蓄すれば、引退後も希望する生活水準を維持できる。他方、1971年生まれのジミーの平均寿命を考慮した引退後の人生は約20年、毎年の所得の17.2%を貯蓄し続けなければいけないことになる。同様に、1998年生まれのジェーンは引退後の人生が35年と予想され、毎年の所得の25.0%を貯蓄する必要があるという。ジミーとジェーンに求められる貯蓄率はあまりに高い。

 結果的にジミーとジェーンは「3ステージ」の人生を想定したままでは資金計画が破綻する可能性が高い。

 したがって、①貯蓄などの「有形資産」だけではなく、②知識や職業上の人脈などの「生産性資産」、③健康などの「活力資産」、④多様な人的ネットワークや自分についての知識などの「変身資産」をバランスよく蓄えることで、人生におけるステージを増やすこと(マルチステージ化)が重要だという。これらの資産を蓄積する結果、引退年齢が遅くなり、生涯の資金計画にも余裕が生じる。

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最終更新:2/17(金) 7:00

東洋経済オンライン